満足度★★★
魅力的な暑苦しさ
12人がこまばアゴラ劇場を所狭しと歌って踊るミュージカル作品で、熱量の高いパフォーマンスに圧倒されました。
意外な場所から赤ちゃんに扮した役者達が現れて始まり、それほど特別でもない人の半生が下ネタ多目でコミカルに描かれていました。ただ馬鹿馬鹿しいだけではなく、所々にノスタルジックな趣きが感じられました。
一般的にイメージされる演劇の「ダサさ」を洗練化によって消そうとするのではなく、それを過度に強調することによって飽和状態にし、逆にダサさを感じさせなくする演出が興味深かったです。
ただし、このような作風で120分の上演時間は少し長く感じられ、100分程度が適切だと思いました。
デフォルメが強調された演技に最初は違和感があったのですが、楽しそうに演じているのを観ていると次第に引き込まれて、どの役者も魅力的に感じられました。
特に西田夏奈子さんと金子岳憲さんのふっ切れた演技と上手な歌のギャップが良かったです。
フォークやテクノ、昭和歌謡曲など、様々なスタイルの音楽がキャッチーで良かったです。歌とカラオケの音量のバランスが絶妙で、迫力がありながらも歌詞が聞き取り易かったです。
ソロかユニゾンの部分が多く、もっとハモりや掛け合いも聴かせて欲しかったです。