満足度★★★
修学旅行での一夜
「なんかテーマとか、物語とか、そういうの考えません」と謳っていたので、抽象的でパフォーマンス的なものを想像していたのですが、全然そういう感じのものではなく、誰でも共感できるような他愛のない会話がダラダラ続く作品でした。
中学生が修学旅行で宿泊したホテルの部屋での一夜が描かれていました。前半は馬鹿なことをして騒ぐ男子達の様子、後半では同じ時間帯にライバル心を燃やす女子達の様子が描かれ、終盤では男子達が女子部屋にやって来てギクシャクとしたやりとりが繰り広げられる物語で、変に虚勢を張ったり、恥ずかしくて本心を言えない中学生特有の心境がコミカルに表現されていました。3人の会話で主導権がコロコロと変わって行く様が楽しかったです。
何とも言えない気まずい雰囲気が笑える場面が多かったのですが、全体的にコント的雰囲気だけが強く出ていて、この作品ならではという特徴が感じられませんでした。前半では本気で枕を投げたり叩いたりしていたので、演技ではないリアルな身体性を追求しているのかと思ったのですが、途中からはそういう要素が見られなくなって普通の演劇になってしまっていて、残念に思いました。
台詞が「え?」や「なんか」を多用する、いかにも現代口語演劇という感じが強く出過ぎていて気になりました。
天井から吊り下げたミニマルな物と、乱雑に散らかった畳敷きの床でホテルの一室を表した、濱崎賢二さんによる美術が素晴らしかったです。
暗転することに必然性を持たせての男子部屋から女子部屋への転換がうまく工夫されていて良かったです。