チェ・ジナ/劇団ノルタン『1洞28番地、チャスクの家』 公演情報 TPAM・国際舞台芸術ミーティング「チェ・ジナ/劇団ノルタン『1洞28番地、チャスクの家』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    韓国の質の高い演劇
    日本でもお家大事とか時代劇で聞いた事があると思います。儒教の影響なのか韓国ではまだ家系・家柄(家族・先祖)を大事にしてるのか、その象徴としての『建造物として家』や『土地』について物語・登場人物達のこだわりがすごく感じる事ができたお芝居。
    そして多分に今の韓国の時事も盛り込まれているのかもしれないと感じた。韓国の若者も家に対する思いも希薄になっているのだろうなと。

    演出も物語が進行するにつれて、舞台上で役者達が大道具の家を基礎から組み立てていくという発想も面白く、役者陣は少し大きめの芝居だが確実に魅力を振りまき質の高さを感じる事が出来た。シンプルな芝居で所々笑いの要素はあるが、喜劇ではない....。

    一方で、構成のテンポが悪いなとも思い長く感じる。
    あと説明や注釈的台詞が多いのだが、上品さというか堅苦しさを感じる....例えるなら教育テレビでやる様な子供向け番組のナレーション的台詞を舞台上の役者達がドヤ顔で語ったり。やはり言葉と文化の違いなのだろうか笑の壷がちょっとずれてる感じも。【韓国系と思われる客さんはうけてた様だが、欧米系や日本人の観客結構寝てた】
    そしてやはり韓流なのか(笑)色々な困難に遭遇⇒登場人物達の団結⇒大団円に向かうかと思わせつつ⇒再びの困難&結局家は完成しない⇒エピローグという物語構成のくどさにも疲れました(笑)

    ですが、1,500円という価格設定でKAATのホールを贅沢に使い倒した十分納得・満足したお芝居でした。

    この物語は家を建て直す事を軸にした施主家族・大工・その他の人々の物語。以下あらすじ

    ネタバレBOX

    チェスクとは施主の随分前に亡くなった夫(父親)の名前で、韓国では夫婦別姓のようだ。

    開演前から舞台中央には[ミニチュアのシャベルカーのラジコン]と[ミニチュアの家の模型]が置かれていて、そこにスポットライトがずっと当てられている。開演後冒頭ラジコンでミニチュアの家を壊し物語がはじまる。

    登場人物は9人。施主家族4人【母親・長男・次男・長女】/大工3人【年配・中年・見習若者】/近所の女性/資材運搬トラック運転手
    照明演出はシンプルである。
    施主家族は決して裕福ではないが子供達も独立し、銀行にローンを組んで母親の為に家を建て替える事に一代決心。でも狭い土地だが近隣にマンション建設の噂があり銀行が土地を売ってくれ催促してくるちょっとしたプチバブルでもある。韓国の建築・住宅事情(新羅~1970年代~現代、昌徳宮とかコンクリ建物)等の蘊蓄的台詞が物語に盛り込まれている。

    大工は早く建設して次の現場に行きたいのだが、施主は注文が多い上、役所から立て直しの許可が農地だからという理由で中々下りず、大工たちはイライラ。物語の中で所々合間に建設方法や資材・道具の蘊蓄を語りだしたりもする。
    そして土地の地盤が悪く少し家の基礎が歪み始めるが大工達は建設の手を止めない⇒施主とギスギスしてくる。

    紆余曲折ありまして、開始から55分位経過した所から写真にもある様な型枠を持って出演者全員がダンス的フォーメンションパフォーマンスで楽しげに家を組み立てていく。これでテンポ良く展開するのかなと思ったらそうはいかない(笑)今度は大雨で作業中止⇒そして地盤が沈下して土地の下に小川が(笑)もう駄目だと大工も諦めて帰ろうとする長男も家なんか建て替えるんじゃなかったと怒り、母親は悲しそうにオロオロする。そんな中で次男が一人でどうにかしようと作業する。これを見ていた出演者全員は団結して困難に立ち向かい打ち勝ち家を組み立てていく。

    これで完成して大団円かなと思っていたら流石韓流です(笑)施主にまだ七難八苦を与えてくれる(笑)隣の住人の土地スペースに半分以上割り込んでいる事が判明!まさかの土地の境界線問題が発生&建設差し止め訴訟をおこされ建設が不可能に、そしてお母さんは過労で倒れる(笑)

    そしてエピローグ、出演者全員が家のミニチュア(明かり付き)を持って、家に対する抒情的台詞を語り、家を置き、出演者は去っていく。そして照明が落ちミニチュアの家の明かりだけになり終演です。

    とてもくどい(笑)お腹いっぱいでした。

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    2012/02/15 15:10

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