満足度★★★★
艶やかな しかし 哀しい そんな世界に沈み込んで
<女性のみで構成された演劇ユニット“東方守護”。薔薇にも劣らぬ品格と華を感じさせる「椿」を苗字とした椿一座が幻想の世界を創り上げます>
と、宣伝のコピーにありましたが、まさにその通りの劇、劇団です。
「ベルサイユのばら」の世界を、そっくり江戸、吉原の町に再現したような絵図。
なにしろ和服にブーツの衣装です。
心中を扱ったものだけに、宝塚でもない、艶やかな、しかし悲哀に満ちた空気を醸し出しています。
この独特な世界に、観たあとに、感想の言葉が、しばらく出てきませんでした。
最後の透明で美しい情死、その一点に向かって、突き進んでいく。
劇中の、一人一人の振るまいが、一つ一つの場面が、白装束を纏った二人の、清らかな死のためにあるのだという印象でした。
自らを突いてからの、初花の立ち振る舞いが、ずっと目に焼き付いたまま、劇場を後にしました。
新宿二丁目で、バーテンのバイトをしていた頃の、「匂い」とも違う、初めての「香り」を体験したようです。
一言、こんな世界もありかな、そして、なかなか乙な劇でもあった。