満足度★
一度目も二度目も悲劇
28日(土)、29日(日)と2回観劇したが、2回に分けて詳述するのは面倒なので、まとめて書く。
「三谷幸喜大感謝祭」の掉尾を飾る作品として相応しかったかどうかと問われれば、今イチ、今ニ、いや、今サンくらいかな、と言わざるを得ない。
「90分」というタイトルが先にあって、それに合わせた内容を後付けで考えたことが明白な舞台である。勢い、設定と展開にかなり無理が生じる結果になった。三谷幸喜は事前のインタビューで「今回は“笑い”を封印します」と宣言していたが、実際にはかなり「くすぐり」を入れて、もたつきがちな展開を何とか繋いでいる。しかし果たしてこの題材は「笑い」に相応しいものであっただろうか。テーマと方法論にも乖離が生じているように思えてならなかった。
その無理や乖離を、二人の俳優が何とか演技で繕おうと懸命になるのだが、如何せん、西村雅彦の方が役をかなり掴み損ねている。三谷幸喜は殆ど役者への当て書きでしか戯曲を書かないが、当ててもなお、その役をこなせないほどに西村の演技力は拙い。
それでも1日目よりは千秋楽の方が、二人の掛け合いの間がよく、その分、客席での笑いの反応もよくなっていたのだが、前述した通り、ここで笑わせてしまっていいものかという疑問が、私の胸にわだかまっているのである。