不文律 公演情報 643ノゲッツー「不文律」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    同じカッコー
    この舞台を観終わって思い出したのが「 カッコーの巣の上で 」という映画だ。映画の中で
    ジャック・ニコルソンは最終的に廃人にさせられてしまう。閉鎖的な精神病院の出来事を綴った映画だ。英語でカッコー「cuckoo」という単語には、鳥の名前であると共に、形容詞として「気が狂って、馬鹿な」という意味があるけれど、今日の舞台も映画と似たような終わり方である。そして同じようにアル中や精神的に病んだ人たちが入所している施設が舞台だ。

    ネタバレBOX

    裏日記はこちら→http://ameblo.jp/misa--misaki/


    ここでは表向きは自然治癒を行う施設として存在し、裏の事業として患者を人体実験させていたクローンの人体研究所として機能していた。二人の医師、大橋と沢田はかつての師の意思を継ぎこの研究を継続し患者をクズと言い放ち人体実験をしている。これに気付いたもう一人の正義感の強い医師・西尾がこの間違いを訂正しようとしたが逆に西尾は廃人にさせられてしまう。

    この舞台を観て感じたことは、患者たちは施設の中である意味心地よいともいえる諦めに浸っておりそこから出ようとはしなかったことと、狂人たちは一つの秩序をそこで構築し独白を始める場面もあることから、外に出て生きるという意欲が完全に失っているようにも思えた。

    そんな中、二人の医師は100年後の未来を見つめて研究するあまり、今の多少の犠牲はやむ終えないと考え、研究に間違っているという言葉はないと言う。研究にあるのは成功か失敗かのどちらかだと・・。

    研究と倫理の狭間で揺れ動く不文律は、きっとその昔、原爆を作った博士の不文律を覚えているだろうか。研究者というのは留まるところを知らない。一つの成功のその次も見たくなるものが研究者だ。そして二人の師である松浦先生の娘は「父は以前こんなことを話していました。人は物心がついたときに解ることがある。人はいずれ死ぬ。」と話す。

    タイトルが素敵だ。そして全体をとりまく演出も素晴らしい。音響、照明も、勿論、キャストらの演技力も。特に終盤を衝撃的に飾った西尾役の海老根理があまりにも素晴らしい。ワタクシの大好きな谷仲恵輔の重厚な演技力にも満足した。本当に良いものを観たと声を大にして言いたい。東君、腕をあげたなぁ。。とつくづく嬉しい舞台だった。カンペキ!

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    2011/12/13 18:27

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