ドン・ジョヴァンニ 公演情報 東京二期会「ドン・ジョヴァンニ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    重層的な演出
    極悪非道な色男の破滅の物語を洗練されたビジュアルと官悩的な演技で描き、モーツァルトのチャーミングな音楽との対比が鮮やかな演出が印象的なプロダクションでした。

    序曲が演奏される前から舞台の幕が上がり、雷の音と閃光の中、アーガイル柄のセーターに眼鏡の男性とピンクのミニのワンピースの女性の現代的な若いカップルが洋館に入って来るという、オリジナルの脚本にはないシーンから始まり、他の登場人物は近世の貴族の格好で、途中で近代的なスーツの男性が現れたりして、異なる時代が併置された様な奇妙さがありました。
    20人程の合唱の人達は全てデザイン違いのちょっとゴス系なテイストも感じられる白いドレスと白い髪という姿でスローモーションやストップモーションを多用して、亡霊の様に現れたり消えたりしていたのが美しかったです。
    歌詞の内容と相反する内容がアンサンブルやメインキャストと同じ格好をした人によって演じられ、感情の表と裏を表現していたのが興味深かったです。

    手前から奥に3層、大きな額縁を中央に据えた同じセットが床の角度を変えながら重ねられ、エッシャーの絵画の様な入れ子状の不思議な空間が作られていました。壁に並んだドアにはおそらく年号を意味する4桁の数字が記され、ドン・ジョヴァンニに象徴される「悪」がどの時代になっても消えることはないと示唆している様でした。

    歌手は服を脱ぎ捨てほぼ下着姿に近い格好になったり、オペラにしては濃厚な絡みのシーンがあったりと体を張った演技で、演劇性を高めていました。ドン・ジョヴァンニを演じた宮本益光さんはスケスケのタンクトップ姿で妖しさ溢れる演技をしていて、とても魅力的でした。

    第1幕では様々な趣向が盛り込まれ、それらをどうまとめるか楽しみだったのですが、第2幕はあまりハッとさせられる演出がなく、まとまらずに終わってしまった感じがして残念でした。

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    2011/11/25 00:01

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