足立智美コンサート『ぬぉ』 公演情報 東京文化発信プロジェクト室「足立智美コンサート『ぬぉ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    場所を活かしたパフォーマンス
    都内で唯一の水産物専門の中央卸売市場である足立市場の様々な場所を使った、70人近くの演奏家による音楽パフォーマンスでした。具体的な物語があるわけではないのですが、特殊な場所の文脈や空間を巧みに取り入れた作品で、ただの音楽作品ではなく、演劇的要素の強い作品でした。

    チューバを中心とした10人ほどの低音楽器奏者達は演奏場所の屋根の色である青の服、その他の楽器奏者は建物の鉄骨の赤の服、合唱団は魚を運ぶターレットトラックの黄の服を着て3つのグループに分かれ、離れた場所で同時多発的に起こるイベントを観客は歩き回って見聞きするスタイルでした。
    最初は合唱団は屋上で歌い、器楽隊は離れの建物の廊下の様なスペースで演奏し、次第に広い駐車スペースに移動して音楽的にもテンションが高くなり、クライマックスでは本物の競り人が登場し、競りの時の様に鐘を手に持ち楽器名を呼び挙げて即興のソロを指名して演奏させていました。楽器として車も使われていて、ワイパーや窓ガラス、ラジオが楽譜の指示によって演奏されていて、60分に及ぶパフォーマンスの最後は3台の車のクラクションで締め括られました。
    合唱団が駐車スペースの周りを振りを付けながら歩き、その中でターレットトラックが合唱メンバー3人を乗せて走り回るシーンや、トロンボーン奏者3人が市場の入り口からメインの演奏スペースまで200m程の距離を演奏しながらゆっくり歩いて来るシーンが印象的でした。
    空間が広すぎて音響的に散漫になってしまったのと、集団即興演奏にありがちなカオスの状態に陥りがちだったのが残念でした。

    今年のF/Tは野外劇を目玉として打ち出していますが、それに劣らない場所の活かし方を見せた作品だったと思います。客は地元の人や出演者の知り合いが多いみたいで、演劇ファンはあまりいない様で、勿体なく思いました。
    ちなみに終演後に千寿葱と鮪のスープ「ねぎま鍋」が振る舞われ、とても美味しかったです。

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    2011/10/23 22:39

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