入場料一八八0円 音楽とドリンクつき 公演情報 Moratorium Pants(モラパン)「入場料一八八0円 音楽とドリンクつき」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    たくさんの可能性
    六本木エロナイトの回を拝見。

    お芝居はとてもいろんな可能性をもった戯曲だと感じました。
    演じ手のリズムや作りこみで、たくさんの広がりが生まれそうな感じ。

    私の見た回では、
    観る側の想像力を惹きだすことにはそれなりに成功していたのですが、
    まだ、こなれきっていない部分も感じた。
    でも、この回をはるかに凌駕するような
    いろんな色が生まれてくる予感のある舞台でもありました。

    ちなみに「つき」の方=音楽やダンス、ドリンク、場所、衣装なども秀逸で、
    パフォーマンスとしても総合力を感じる催しでもありました。

    ネタバレBOX

    私が観た回の場所は元SM系のお店だったらしく
    作りこまれた閉塞感と高さをもった場所。

    壁面には齋藤明さんの大判の写真、
    モノクロームの世界に閉じ込められたSM嬢たちの、
    一人ずつにある種の時間を纏う生々しさがあって
    その刹那の女性たち美しさに加えて
    その感情や彼女たちがまとう感覚が
    虚構と現実の端境の肌触りで伝わってきます。

    ・入場料880円ドリンクつき

    ぐるっと回りと取り囲まれて
    役者たちが物語を紡ぎ始める。
    冒頭の物語の導入が、
    技量を持ったパフォーマーによってなされたのはとても正解で
    そのくっきりした語り口が、
    空間に物語を導き入れる。
    観る側と会場の空間がしなやかに一つの緊張感を持って
    物語が動き出します。

    役者の二人には比較的早いテンポの中に
    すっとニュアンスを立ち上げる力があって、
    空間をその場の色にすっと染めていく。
    観る側にイメージが広がりきる前に
    次のイメージが発せられるような感じが
    変化していく二人のキャラクターを
    観る側に追わせるリズムを創り出す。

    物語自体は、不条理な部分もあって、
    でも、シーンのピース単位でみると崩れがなく、
    役者たちにもそれらを伝えるに足りる切れと安定した技量があって。

    ただ、その切れやリズムを大切にする中で、
    シーンごとの変化がやや乏しい印象。
    一つのトーンの中で紡がれていく物語には
    それなりの力があるのですが
    戯曲としては
    もっとシーンごとの落差や彩りの差があった方が
    よしんば多少不安定さが生まれたとしても
    観る側として伝わってくるものが多い感じがしました。

    ベースのクオリティや勢いはきちんと作りこまれた舞台だったので、
    もっと冒険があっても良いのかなと。

    ・Live

    役者ふたりのトークショーのあと、R&B歌手AKITOSHIの
    ライブがありました。
    まだ、演劇の空気が残っている場に
    世界をしっかりと作り上げる。

    ノリをもちどこか少しだけけだるくて甘い雰囲気を醸しつつ
    一方で夜の色香をしなやかに場の空気に織り込んで。
    膨らみがしっかりと作られたLiveでありました。

    ・セクシーバーレスクダンサーズ Moulin Rouge パフォーマンス

    バーレスクダンサーMoulin Rougeと
    女優として最初に舞台を務めた2人のユニット。
    ミュージカルなどでは、
    比較的多用される形式のダンスだと思うのですが
    こういうクローズなスペースで演じると
    大きな舞台とは全く違った力を持っていることを実感。
    パフォーマーが全体の空気を作り上げるのと逆のベクトルで
    雰囲気がそれぞれのパフォーマーを引き立たせていく感じ。

    場に一気にグルーブ感が生まれる。
    肢体の魅力を強調するダンサーとしての動きのしなやかさ。
    リズムに対してゆとりをもった動きとその精緻さには
    観る側を前のめりにさせるような切れがあり
    一方で恣意的にルーズな動きからは
    それぞれのダンサーの個性をもった魅力があふれ出す。
    一人ずつのダンスが醸し出すものが、
    女性としての異なる美しさと粋と魅力に満ちていて、
    だからこそ、そのユニゾンに、
    重なりを凌駕する乗数での魔力を感じる。

    会場の雰囲気までも味方につけて
    たちまち観る側は虜にされて・・・。
    もう、がっつりと嵌ってしまいました。

    *** *** ***

    ほんと、盛りだくさんの舞台に
    たっぷりと満たされて。
    メインディッシュのお芝居は、このユニットのレパートリーとして
    今後も再演してほしいし
    今回のように、日頃あまり触れることのない
    表現に接する機会も
    とても貴重に思えて。
    また、芝居とダンスの衣裳が実に秀逸。
    パフォーマンスのクオリティを支えることはもちろん、
    衣裳によって表現する創意や芸術性があることを実感。


    いろんな伸びしろを感じつつも
    タップjり満たされたイベントでありました。






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    2011/10/23 06:50

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