満足度★★★★
死が世界を支配する暗い時代、憎しみと復讐が生を凌駕する時代
今年のオペラシーズンの始まりはヴェルディのトロヴァトーレで開幕。
15世紀のスペインでの出来事。女ジプシーの呪いを受けたルーナ伯爵家の長い年月に渡る悲しみ、憎しみ、そして復讐の話。オペラ特有のエグイ話と相反して美しい珠玉のアリアの数々が見事なまでにリンクして、映画、演劇では味わえない震えを覚えてしまう。今作はヴェルディの傑作オペラの一つだが、もし演出家が現代に舞台設定を変えても、十分に通用するオペラだと思える。
そういえばベルナルド・ベルトリッチ監督の1900年という映画は、ベルティが死んだ!ベルディが死んだ!というオープニングで始まるんだったな。1900年はヴェルディが死んだ年でもある。