『隠蔽捜査』&『果断-隠蔽捜査2-』 公演情報 キョードー東京「『隠蔽捜査』&『果断-隠蔽捜査2-』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演出とキャストに助けられた脚本
    1の方を観て来ました。

    これ、原作も、テレビドラマも観たことないのですが、どうも、舞台にしては、脚本が凝縮されていない印象がありました。

    何となく、放送シナリオをそのまま舞台にしたような雰囲気で、もっとテンポ良く、2時間以内で収めた方が、この作品の持つ味わいが活かせるように感じました。

    でも、演出とキャストは、素晴らしい!

    高橋いさをさんの演出は、三田村組以来ですが、あの時も、時間軸の移動がうまく舞台化されていて感心しましたが、今回の舞台も同様。
    先日拝見した「エレジー」にも、こういう演出センスがあればなあと改めて思いました。

    上川さんはもちろん扇雀さんの現代劇が意外と良くて、ビックリ。歌舞伎俳優さんの現代劇にはどこか違和感を感じることが多いのですが、扇雀さんの伊丹刑事、なかなかでした。
    それに、端役ながら、近江谷さんの存在には、終始心が和みました。

    ネタバレBOX

    足立区綾瀬の今も釈然としない、実際の陰惨非道な女子高生殺人事件に端を発する事件が描かれた芝居で、台詞に、実際の事件や固有名詞が出て来て、それでいて、後はフィクションというのはどうなんだろうと、ちょっと訝しく感じてしまいました。

    あの事件は、当時の新聞報道によれば、世にも怖ろしい陰惨な許しがたい犯罪に違いはなく、実際この芝居のような展開の事件が起きても不思議はないとは言え、その犯人の少年が、二人も殺されるという設定は、どうなんでしょう?
    実際の犯人が今も社会に生きていて、当時少年だっただけに、安易にこういう題材に扱っていいのかという疑念が付きまとい、どうも芝居だけを単純に楽しむという思考が起きずに観ていました。
    場所まで、実際の固有名詞が出て、事件の通称も一度台詞として出て来るので、あの当時を知る人間は誰でも、あの事件に結び付けて考えます。
    国松長官狙撃事件のことも、そのままの台詞で語られ、さすがに、こういう誤解を生むフィクションは良くないのでは?と感じました。

    それに、あれだけ足立区のイメージを悪くした事件を題材にした芝居を足立区の劇場で上演し、足立区民が多数訪れているという光景にも不思議さが否めませんでした。

    とは言え、上川さんは、やはりいつもしっかりと役を演じて下さる稀有な俳優さんの一人だし、脇の役者さんも、全員丁寧に演じていて、好感の持てる舞台ではありました。

    セットのセンスと演出センスで、装置を全く変えないにも関わらず、きっちりと、場所が、警察庁や竜崎家や伊丹家に見えるところが、感心しました。

    扇雀さんが、ストーリーテーラーも兼ねていて、役として演じるのとの切り替えの巧さにも感服しました。

    2の方も観るのが楽しみになります。

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    2011/10/19 21:31

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