満足度★★★★★
胸打たれるほろ苦さ
観劇の前日に、清水邦夫氏の盟友でもあった蜷川幸雄氏と、同時代に新宿を拠点として活動した唐十郎氏による初の公開対話を聴きに行き、60年代後半当時の「時代の熱気」を懐かしく思い出した。
平さんは先日の劇団四季でのシャイロック役のときもそうだったか、今回も「お芝居を観た」という以上の想いが心の中に残った。
それは私自身が年をとり、「老いの苦さ」を悟り始めたことが大きく関係していると思う。
清水さん、蜷川さん、唐さん、平さんそれぞれの演劇に対する熱情を自分の中で反芻しながら観劇したという点で、感慨深い公演となった。
蜷川さんと清水さんが一緒に芝居していた当時は、映画が終わった夜9時半から新宿文化のアートシアターで上演されていたこともあり、観たことがなく、
旧作は大学生によって上演されたものを観て、とても好きになった。
いくつか蜷川演出による作品も観ているが、本作は、これまで私が観た作品とは少し違う感じの作品だった。
だが、「記憶」について書かれている点では共通している。
可児市は私の父の晩年の思い出につながる土地で、二度ほど所用で訪れたことがあり、いただいた名産品の薔薇を見て胸がいっぱいになった。