維新派『風景画―東京・池袋』 公演情報 フェスティバル/トーキョー実行委員会「維新派『風景画―東京・池袋』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    「維新派」が「東京(池袋)」と共鳴することで、さらに見えてきたのは「維新派」自身だった
    池袋西武百貨店の「野外」を使っての公演。
    ミニマムで、借景たる池袋(東京)を見せていく。

    ネタバレBOX

    西武百貨店(セゾン)といえばある時代の文化的なものを象徴したような場所。スノッブな印象だったというか(笑)。それももはや、今やセブン&アイ傘下で過去形である。
    そこの「野外」を使っての公演ということが、「皮肉的」にも聞こえた。

    『風景画』というタイトルからわかるように、当然、池袋の街が借景となり、セットの一部に組み込まれることになる。

    会場は本館駐車場脇の屋上だ。デパートの空調音が響く。
    そして眼下には鉄道。節電以降の東京らしく、あまりネオンは目に付かない。

    東京のあちらこちらに建つ、印象的なビルの模型が数多く屋上の奥まったところに立ち並ぶ。
    「なぜ?」と思った。「東京」を感じさせるのは、池袋じゃ、まだ不十分なのだろうか。開幕の時点ではどう使うかわからなかったのだが、それらは、最後までそこに「ある」だけだった。
    だったら、「池袋」で十分ではなかったのかと思う。これ以上何が足りないというのだ。

    とてもミニマムな動きから始まり、後半もその印象は大きくは変わらない。

    白塗りで、半袖シャツに黒い半ズボン。
    個を否定する(あるいは、個が見えない)かのような出で立ち。
    それは「東京」という街という解釈だとしたら少々常識的すぎかも。
    …実際は、それそのものが「維新派」という印象なんだけど。

    と言うか、その「個の否定(個の見えなさ)」「規制」「統制」「連帯のなさ」と言った、今池袋の屋上で行われていることは、まさにいつもの維新派に感じていることでもある。
    それが「東京(池袋)」と共鳴する。

    ただし、個人的感覚としては、「肉体」は何も語っていない。饒舌なのは、「音楽」と「台詞」と、そして「池袋」である。「池袋」の環境が饒舌に語る。それは、眼下の鉄道であり、ビルの明かりであり、西武の買い物袋を下げて駐車場に行く買い物客であり、風であり、ときおり鼻を刺激する、排気ガスの匂いであり、(たぶん)食堂から流れる揚げ物の匂いである。

    もう、これだけで十分ではないだろうか。ビルの作り物なんていらない。野外に野外を作り出すならば、もっと気の利いたモノにしてほしいものだ。

    肉体も本当に必要だったのか? と問い掛けてしまう。

    もちろん、「動き」があることで、視覚的には楽しめたということはある。
    それは、「環境音楽」のミュージックビデオ的な感覚ではある。

    ひょっとして、「野外」なのに、実際に演じているのは、どこかの室内であり、観客は風が吹く中、どこかの室内で行われている舞台を、野外のモニターで観たほうが、さらに刺激的だったのではないか、と思うのだ。
    そのほうが、リアルな「東京」の「風景画」だったような気がする。

    「肉体」ということで言えば、前に観たときも感じていたのだが、鍛えてない肉体は、キレが悪く。揃えるつもりが揃わないのが気持ち悪い。「揃わないこと」が狙いとは思えないし、なんだかなーと思うのだ。出来のよくないマスゲームな感じ。
    鍛えてないから、例えば、かかとを上げる、なんいう動作が、きれいではない。きちんと上げている者もいれば、手抜きであまり上がってない者もいる。観客は薄暗闇でも見ているし、そういう微妙なところが、ミニマムな動作では、伝わってくる。腕の上げ下げとか角度とか。
    そういうところが、なんだかなー、と思う。

    白塗りで同じ衣装による「個の否定」は、同じように白塗りし、裸である舞踏に感じるのとはまったく逆だ。舞踏では一見見分けがつかないようで、「個」が滲み出る。しかし、こちらは、体型が違っていても「個」が消えていく。

    結局、「統制・規制・個の否定・連帯のなさ」の「維新派」的な要素が「東京」と共鳴することで、さらに見えてきたのは「東京」ではなく、「維新派」自身だったのではないだろうか。
    しかし、その見えたきた「維新派」的な要素が、個人的にはやっぱり嫌いなので、維新派は嫌いなんだな、ということを再認識した100分であった。

    あと、音楽がもっとカッコ良かったらよかったのだが、野暮ったい。ケチャのような人の声(台詞・ただしリズム感悪し)、街の喧噪、そうしたリズムがうまくミックスされていたらどんなに素晴らしかっただろうと思う。
    例えば、ドイツの70年代から80年代ぐらいのロックシーンのような、あるいはミュージックコンクレートとか、音響派とかそんな感じの。

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    2011/10/12 07:32

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