満足度★★★★
味わい深い。
30代後半のボクにはしみたなー。
ま、主人公の彼とは境遇も仕事も女関係も全く違うんだけど・・・彼と、彼が店長を務める喫茶店の従業員の若者との交流には、身につまされるものがあった。
周囲を慮るあまり思ったことを表現できなくなってるだけじゃなくて、自分自身が何を思っているのか、何をしようとしているのかですら、ボヤケてしまっている主人公村井。
この感覚わからんでもないなあ。
でも、若い子には「やさしい」とか「癒される」「大人だなあ」「抱擁力がある」なんて言われちゃってね・・・ただ黙って微笑んでるだけなのに(笑)
「好き!」という感情も、従業員や従業員に首ったけの女の子のようにストレートに表現できなくなってるし・・・雰囲気で勝負しようとしてる部分があるもんなあ(笑)
そういう意味では、自分の気持ちをストレートに伝えずに、文豪の小説の文章を器用に使いながら、人生や愛を語るってのも・・・上滑りな行為なのかな。
「なるほど。。。ドストエフスキーもそういう思いを抱いていたんじゃないかな・・・」って会話はウサン臭いもんなあ(笑)
ま、その言葉に救われることも少なからずあるんだけどね。
それにしても、「20代前半のヤツらって、それだけでまぶしいなー」と思った。
やりたいことだけをやる、ってのはボクはできなくなってる。責任を負う仕事に就いちゃうとね。
直線的で、勢いに任せた生き方ができる世代に対して、まぶしさを覚えるってのはあるな、やっぱり(ノスタルジーに浸ってるだけかもしれないけど)。
一瞬、薄味に感じるんだけど、しっかりとダシをとってるから、意外と骨太な芝居。
遊井亮子さん、和希沙也さん(倉本朋幸さんと結婚したこともあって、これから舞台や小説が活躍の場になっていくのかな?)といった綺麗どころを揃えた芝居だけど、男性陣の演技が光った!
男の稚気、哀しさ、弱さが巧く演出されてたなあ。。。
じんわりと味わえる良い芝居でした。