プラトーノフ 公演情報 劇団俳小「プラトーノフ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    若き日のチェーホフの苛立ちと空虚さ、破滅への衝動
    が、昼メロ風味の中で展開されていく。
    ストーリーが面白い。
    それを手際よく見せていく。

    ネタバレBOX

    なんたって、プラトーノフが「空虚」である。饒舌すぎるのに空虚。
    人を見れば噛み付き、女性には「愛している」と連呼して、プラトーノフ自身は、すぐに冷めていく。

    没落貴族のデカダンな様子を描いているのかもしれないか、そこはよくわからない。
    ただし、この戯曲は、チェーホフが若いときに書いたものだということなので、チェーホフ自身の「若い苛立ち」が現れているのではないかと思うのだ。
    つまり、チェーホフの、俗物や成金に対しての、単純ではない「怒り」や「苛立ち」がプラトーノフという主人公を通して描かれているのではないだろうか。

    しかも、そういった、周囲(世の中)と和解できないプラトーノフが、自身の姿であることも同時に理解していて、破滅的な気持ちもあったのではないだろうか。そんな感じがする。
    若き日に「破滅」や「破壊」を望む感じがチェーホフにもあったということだと面白い。
    そして、それは「空虚」であることも冷静に感じていたのではないだろうか思うのだ。
    いささか勝手だが、チェーホフの新しい一面を見たような気さえする。
    まあ、一言余計なことを言いたい人って感じもするのだが…。

    ラストは、想定内すぎるのが、19世紀の限界なのかもしれないのだが、現代にも通じるものがあるのではないかとさえ思う。

    しかし、物語は、プラトーノフを巡る女性たちによって、そういう方向ではないほうへ進む。
    なぜかプラトーノフはモテモテなのだ。破壊的な言動が、退廃した老人たちと呑気だったり、計算高い若者たちの中にあって、ひときわ目立っているからだろうか。
    そのあたりはわからないのだが、とにかくモテモテなのだ(理由は描かれていない?)。

    プラトーノフが一言言えば、女性たちは、虜となって、プラトーノフの言葉をいい意味に解釈していく。

    そこで、妻帯者のプラトーノフに訪れるのは、やっぱり修羅場である。
    後半は、ずっと修羅場と言っていいかもしれない。

    それが、やけに昼メロ風味なのだ。
    話がドンドン進み、大変なことになっていくにもかかわらず、プラトーノフは一切それを正常化させようとはしない。まさに破滅タイプの主人公。
    当然ラストは…、ま、そうなるだろうというあたりに落ち着く。

    この「昼メロ風味」はストーリーだけによるものではない。なんだか古いメロドラマのような哀愁漂う音楽が、それらしいシーンに流れていく。
    こういった台詞のあるシーンに情緒的な音楽を被せて煽るという手法は、あまりにも古すぎやしないだろうか。
    ロシアから来た演出家の手によるものらしいのだが、ロシアではこれが普通なのだろうか、ちょっと興味深い。
    とは言うものの、プラトーノフの影がいつもつきまとう舞台と、手際のいい演出はなかなかだったと思う。

    役者のレベルはいろいろあって、どうかな、と思うところもあったが、主人公のプラトーノフ役の渡辺聡さんは大熱演。また、貴族で未亡人のアンナを演じた早野ゆかりさんはさすがだった。

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    2011/09/25 21:54

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