PRISON 公演情報 劇団伍季風 ~monsoon~「PRISON」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    ちょっといい感じなのではあるが
    あまりにも杜撰なストーリー。
    現代の日本の刑務所という設定にしてしまったから、ズサンに見えてしまう。
    ツッコミどころが多すぎて閉口した。
    どうやらコメディらしいけれど、ズサンなストーリーにイラついたせいか、1個所も笑えなかった。
    ただし、役者たちはとてもいい感じであった。
    キャラの出し方など。

    ネタバレBOX

    冒頭の登場人物の紹介があまりにもスマートでない。
    新人が入ってきて、それに紹介するためという設定で、観客に登場人物たちを紹介するというのはよくあるてではあるが、その前のやり取りが活きてきて、紹介することで、さらに何かが得られるというようにしないと、面白くならない。

    一番の問題は、ストーリーが杜撰なことである。穴が多いし、ツッコミどころが多すぎる。
    刑務所の設定や死刑制度、裁判員制度など、もちろん調べてから脚本を書いているとは思うが、舞台化のためにそれをねじ曲げてしまったのが、とても違和感として残ってしまう。
    だったらなぜ、現代の日本の制度に設定したのかが、不明となる。どこか架空の国の話でもよかったのではないか。
    日本の制度に対してもの申すという立場ならば、基本はしっかりと押さえた上での展開にしないと、穴ばかりが目立ってしまう。

    もし、ねじ曲げてでも面白くしたいと思っているのであれば、批判的な台詞はなくして、バカバカしく笑わせてくれるだけでよかったのではないだろうか。
    ちょっと、声高にしてみました、意識高いです、な感じで入れただけの感じで、思想とかポリシーとか、あまり感じないのだ。

    例えば、自分の子どもが植物人間状態になっていて、その生命維持装置を外したというだけで死刑にはならないでしょう。
    また、死刑囚となった女性の関係者(彼女の事件の関係者)が裁判員に選ばれるなんてことが起こってしまう。
    「裁判員が全員男性だったから自分に不利になった」なんて、ストーカーで実刑となった女性に言わせたりしている。
    また、「裁判員制度が導入されて数年。刑務所は飽和状態・・・」なんて裁判員制度が導入されたことにより、有罪判決が多くなったような印象を与える説明や、台詞が出てきたりしているが、もし、裁判員制度を批判しているのならば、間違った情報を付け加えて、「裁判員制度は良くない」と言うのでは、本末転倒ではないか。
    言いっぱなしなだけで、何が問題なのかには触れようとしない。

    死刑制度だって、ラスト近くで、「死刑自体が人殺し」みたいな台詞を、関係ない看守に叫ぶシーンがあるのだが、これにも呆れた。とってつけたような批判で、その台詞を叫ぶ女は、冒頭で、13階段の登り方で、おちゃらけていたのに。しかも、死刑囚の前で。その死刑囚はいつ死刑になるのかわからないのにもかかわらずにだ。
    しかも、その死刑囚が死刑になるのはおかしい、と叫ぶのだが、それ自体もともとあり得ない設定なのだし。

    また、最初に脱獄すると言い出した女は、動機を深刻そうに言っていたのだが、つまり、彼女の兄を救いたいと、それならば別に脱獄しなくてもいいだろうと思うし、脱獄すれば自由になれる、と考えていることが納得できない。
    理由はどうあれ、それぞれに罪があり、入獄しているのだから、不当に逮捕監禁されているわけでもなく、脱獄すれば人生をやり直せると言い合うこと自体が不快ですらある。これって、犯罪者は身勝手な人たちということを強調したかったわけなの? とも思ってしまう。

    全員が脱走に加わることになるのだけれど、ここに笑いとか、それぞれの過去とかが出てくる重要なシーンとなるはずなのだが、意外とあっさり。また、ここの場にいる全員の力がないと脱走できない、という前提で話を進めていくとか、そんなふうにすることで、説得しながら、各々の過去が明らかになっていくなどにつながったのではないだろうか。

    そして、呆れたラスト。死刑執行が延期された、というのは横に置いたとしても(面白くないけどね)、あれだけ深刻になっていた、死刑囚の新入りの問題(兄を助けたい)は解決せず、なんだよそれ、と思ってしまう。

    しかも、途中から「ラストとして最悪なパターン」を想像していたら、まさそにそうなった。
    つまり、暗転後、脱走した全員がそこにいて、死刑になったはずのアネゴも、なぜかそこにいる、というパターン。
    その理由が「ええ??」っいうショボイもの、というところまで想定の範囲内。
    だったが、理由が、たいして面白くもなく、コメディなのにラストで笑えない。
    だって、脱走の話が出て、実行に移すとなったときから、素人が考えても、そうなるというラストなのだから。
    同じラストにしても、「考え抜いた」新しさとか、センスがプラスされてないと。

    何かに批判めいた内容がいろいろあるんだけれど、その切り口が曖昧だし、まったく伝わらない。
    とにかく、設定やストーリー展開の適当さ、杜撰さにイラついて、笑うことは全然なかった。劇中歌も長すぎだし。
    別のブロックに座っている人たちの中には、笑っている人もいたようだけど。

    役者たちの雰囲気だけは良かったのが救い。
    男性ver.があるので、もう片方は違った印象を受けるかもしれないけれど、同じストーリーならば、あえて見る気はしないなあ。
    ここの劇団は、初めて観たけれど、いつもこういう感じなのだろうか。フライヤーの感じが、いつもいいなぁと思っていたんだけれど。

    0

    2011/09/09 08:46

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大