満足度★★
それぞれが抱えるトラウマ
川沿いの小屋を舞台に、姉妹と男3人のそれぞれが持つ心の傷をじっくりと描いた作品でした。可愛らしいユニット名から想像していたのとは異なる、シリアスなテイストでした。
妹が長らく連絡を取っていない姉が住んでいるはずのアパートに来ても、そのアパートは既になく粗末な小屋があるのみで、その小屋の主である元科学者とその幼馴染みや元同僚、姉との関係が明らかになるつれて、それぞれの悩みも見えてくる物語でした。
人は皆、人に言えないトラウマを持ちながら生きているというテーマがストレートに描かれていましたが、ありきたりな展開で2時間強の時間で描く内容としては物足りなさを感じました。
役者達は落ち着いた演技で良かったです。妹役を演じた人(当日パンフレットに配役が記載されていなかったので名前が分かりませんでした)の多彩な表情が魅力的でした。
下手には川を摸したプール、中央~上手は拾った空き缶が散乱する室内を表していた美術は雑然さの中にセンスの良さを感じさせました。
バイオリンとエレキギターの生演奏があったのですが、間奏曲みたいな扱いになっていて、演技との相乗効果がないのがもったいなく感じました。曲もワンパターンな展開や安っぽい打ち込み音源、メロディーラインと合っていないコード進行など、あまり魅力が感じられず、長過ぎると思いました。バイオリンの演奏は安定感があり、美しい音色が素敵でした。
演奏時に流れる映像は凝ったアングルや編集で作られていた洒落た雰囲気でしたが、物語との繋がりが不明な内容で意図が分かりませんでした。
開場時間まで窓のない入り口を閉めきって、雨が降り出す中、屋根がないところで待つ客を放置していたり、明らかに席に余裕があるのに端の席から詰めて座るように促したり、配役が記されていないのにアンケートに「良かった役者は誰ですか?」という設問があったりと制作サイドの動きが残念でした。