Whenever Wherever Festival 2011 公演情報 Body Arts Laboratory「Whenever Wherever Festival 2011」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    『デザインと身体』鑑賞
    デザインとダンスの関係を考察して作られた4作品の上演でした。興味深いテーマですが、パフォーマンス作品としては完成度にムラがあるように感じました。

    『テラダモケイと身体』(出演:西村未奈、寺田尚樹、他)
    建築家の寺田さんが開発した、建築模型に添える1/100スケールの人形や家具を2次元のシートとして展開しているプロダクト「テラダモケイ」の本人によるプレゼンテーションと、それにインスパイアされて作ったダンス作品の上演でした。
    テラダモケイを使って架空の場面を作り、それを膨らませてダンス作品化したという説明でしたが、テラダモケイに限らず絵や物を使っても出来る手法なのでこのコラボレーションならではオリジナリティが感じられませんでした。物語性からのアプローチよりかは大量生産や1/100スケールという点に着目して組み立てた方が面白くなると思いました。
    コンセプトとは別に純粋にダンス作品として見ても、動きに緊張感がなくて印象に残りませんでした。

    『写真と身体』(写真:熊谷直子、ダンス:笠井瑞丈)
    写真家も舞台上に登場してダンサーの踊る姿を撮り、その写真がリアルタイムで壁に投影されるというシンプルなアイディアながらも、刺激的なトピックを含んだパフォーマンスでした。その場で撮った写真とは別に、事前に撮った写真も同時に並べて投影することによって、多層的な拡がりが出ていて良かったです。
    ある瞬間が写真として固定されるために普段以上に観られていることを意識しながら踊るダンサーと、撮った写真がボケても暗くてもセレクトされないまま客の前に晒される写真家の姿がスリリングに感じられました。笠井さんがポーズを決めて「撮って!」と言っても熊谷さんがすぐには応じなかったりといった駆け引きが楽しかったです。
    舞踏と扇情的なショーダンスとヒップホップをミックスしたような笠井さんのダンスの躍動感が気持良かったです。
    別のダンサーと写真家の組み合わせでも観てみたいです。

    『ファッションと身体』(ファッション:赤坂沙世、振付・出演:山井絵里奈)
    靴がばら蒔かれた中で、茶色の上着と白のワンピースを順に脱ぎ、肌色の下着だけであたかも全裸のような姿で端正に踊る姿が美しかったです。茶色の上着はワイヤーが結ばれていて、脱いだ後に宙高く吊り下げられていたのが服に個人の記憶を象徴させているようで印象的でしたが、そのフォルムがゴチャゴチャしていてあまり美しくなかったのが残念でした。靴には蓄光テープが貼られていて、暗転時に光るのが綺麗でしたが靴のシルエットが浮き出るように貼った方が効果的だと思いました。

    『ファッションと身体と振付家』(ファッション:高橋篤子、ダンス:川野眞子、振付:黒沢美香、森下真樹、山田せつ子)
    プリーツ加工された鮮やかな色の生地で作られた6つのアイテムと1人のダンサー、そして3時間の製作時間を与えられた3人の振付家がそれぞれ作った小品の連続上演で、同じ条件の下で全く異なるテイストになっていました。
    黒沢さんの振付はほとんどダンス的な動きはなく、各アイテムのそばで立ちすくむシークエンスが何度も繰り返される静かなものでした。終盤にワンピース的なシルエットのアイテムを着て少し踊るのですが、基本的にはファッションを身に着けるものというよりかは、空間に磁場を作るオブジェとして扱っているように見えました。
    森下さんは色に着目し、台詞を多用するコミカルで自虐的な作品に仕上げていました。「グラデーション」や「浅草スキップ」、「スカイツリー」といった単語に対応する動きが決めてあり、森下さんのナレーションが次第にランダムに単語を発するようになりグダグダな感じになって行くダンサー泣かせな演出が楽しかったです。
    山田さんはファッションを身体のシルエットを変化させるものとして捉え、イレギュラーな着方で身体を拘束させながら、一歩一歩踏みしめるような振付をしていました。後半では体のパーツを読み上げていましたが、意図がよく分かりませんでした。
    3作品のテイストが異なるのは確かですが、ファッションという条件がなくても同じような結果になっていそうな気がして、ファッションが振付に対してどこまで寄与しているのかが曖昧に感じられました。異なるテイストを踊り分けた川野眞子さんのダンスは見事でした。もう少しオーソドックスなタイプの振付で踊るのを観てみたいです。

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    2011/08/11 00:28

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