満足度★★
大橋可也/笠井瑞丈の回を鑑賞
大橋可也&ダンサーズ+空間現代『ウィスパーズ』
ノイジーで引きつったような変拍子が特徴的な3人組のロックバンド、空間現代とのコラボレーションでした。
客電を落とさないままダンサーが舞台に現れ、断片的な台詞を言いながら、のたうち回ったり倒れ込んだりする動きを主体にしたシークエンスが続き、途中からバンドの演奏が始まってもビート感のあるダンスは踊られず、重い雰囲気が支配的でした。3人のダンサーが動き回る中、もう1人はほとんど椅子に座ったまま聞こえない声で囁く対比が印象的でした。終盤は2人が格闘技のようにもみ合い、剥き出しの身体の存在感が強く感じられました。
全体の構成は良かったのですが、音の強度にダンスが負けていたように思います。白のブラウスにグレーとベージュのロングのプリーツスカートの衣装が奇麗でした。
笠井瑞丈『Happyend』
全身白塗りに赤褌、学ラン、軍服、セーラー服、ラジオから流れる音楽とアングラ的アイテム満載の作品でした。男性デュオで相手の股間に背後から腕を入れて男性器を象徴したり、懐中電灯を褌の中に突っ込むなど下ネタを織り混ぜたコミカルな雰囲気で始まり、女性ダンサーのデュオからはシリアスなテイストもありました。ところどころ印象的なムーブメントがあったのですが、全体としては演出の方向性が定まっていなくて、舞踏に特徴的な眈美な感じも下世話な感じも中途半端な表現に終わっていたようにように思いました。
後半の5人でのユニゾンはダイナミックで迫力がありました。冒頭で『仰げば尊し』を歌った、セーラー服を着ていたダンサーのコケティッシュな雰囲気が魅力的でした。
両作品の上演後に、「あなたにとってダンスは必要か?」というテーマで振付家が話す時間が設けられていましたが、グダグダな感じで有益な情報もなく残念でした。