愚鈍起承転浪漫譚 公演情報 シンクロナイズ・プロデュース「愚鈍起承転浪漫譚」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    絵画のように美しい
    舞台のひとこまひとこまの描写が絵画のように美しい。それはキャストらの配置と衣装、照明スポットの当て方が計算されているからだ。また姫路役の早川毅の演技があまりにも素晴らしい。相当な実力派だ。物語は劇中劇。会場は半分以上が空席だった。惜しいと思う。311の大震災以来、吉祥寺シアターが満席になることはなくなってしまったのだが・・。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ある劇団を舞台に、ここの演出家・姫路を軸にして他の役者らの情景を綴った物語。
    姫路は自分自身を「遍歴の騎士ドン・キショーテ」だと思い込んでいた。彼は余命いくばくもないが、妄想の世界で理想を追い求めて旅に出ることにした。劇団員達は彼の最後を華やかに見届けようと団結し、彼に合わせて一世一代の「お芝居」を打つことに決めたのだった。

    「ドンキホーテ」の物語を「ドン・キショーテ」として演じ続ける姫路。彼に付き合って姫路を支えながら演じきる劇団員。現実と理想に苛まれる男のロマンを可笑しくも切なく綴っていた。これを劇団員や演出家が観たら相当、共感するだろうと思う。姫路を狂人だと言っていた劇団員自身も、この狂人的お芝居に参加し、デタラメを言って主人を信じ込ませ、ドン・キショーテの従者として従ってしまうのだ。

    こうして劇団員らは姫路を最後までとことん劇的に騙し、今の世界は現実なのか、永遠に覚めない夢なのかも解らないまま、夢うつつでいられた姫路は本当に幸せなのだとも思う。一人理想を掲げても無力なのだが、こういった後押しする団結力こそが明日への大きな糧となる。

    『どんな困難な状況にあっても、解決策は必ずある。救いのない運命というものはない。災難に合わせて、必ず一方の扉を開けて、救いの道を残している。』といったドン・キホーテ

    この物語は「現代版ドン・キホーテ」だが、独特の滑稽さと美しさのバランスが見事な舞台だった。現代を生きるワタクシ達も、独自の滑稽さと美しさで生きているのだから、そう変わらない。

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    2011/07/31 12:20

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