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トライアングルCプロジェクト「
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とし(188)
満足度
★★★★★
選択の物語
飴屋法水の仕掛ける、選択の物語。
絶品でした。
休憩で帰りたくなっても、帰っちゃダメ!
ネタバレBOX
久々に行ってきました、あうるすぽっと。
なんか息苦しい額縁舞台だった記憶しかないので、客席入ってびっくり。
粋な装置。
家なんだけど、壁とかは作らず、柱だけでうまく作ってる。
あうるすぽっとの広い舞台空間を無理して埋めてる感もなく、音響スピーカーが山積みされてたり、脚立が立て掛けてあったりと、
「ここは劇場なんだぜ」
って感があって好き。
かっけー。
芝居は休憩挟んでの二部構成。
前半がとにかくしんどい。
高級住宅地のある一軒に、スクープ記事ばかり書き続けている二人の記者が侵入してくる、
ってのが大雑把なストーリーなんだけど、
この二人が、本当にゲス野郎で、観てて胸くそ悪くなる。
それだけ芝居うまいって事なんだけど、ほんとに、しんどいくらいゲス。
脚本もまたドギツイのでゲス度MAX。
大切にしてた道徳とか倫理観とかを目の前で粉砕されるような、言い様のない怒りが込み上げてくる。
芝居のクオリティとか役者の演技にいらいらする、とかではなしに、芝居の登場人物に対して怒りを覚えるってのは久々の体験かも。
それだけ引き込まれてたって事か。
前半が終わり、休憩に。
前半で、一つの芝居として完結している。
続けるとしたら、あの方法。
と思ってたら、やはり。
ラン・ローラ・ラン形式と呼びましょうか、
あるいはキラー・クイーン・バイ・ツァ・ダスト(敗けて死ね)形式と呼びましょうか。
この芝居の一つのテーマとしてチラシにも書いてあるのが、
「選択」
あの時ああしていれば、なぜあんな風に…
生きてる中でしている選択の数々は、未来を大きく変えてゆく。
その「選択」についての物語なだけに、後半も前半と同じ入り方をする。
この戯曲の仕掛けがまた、粋。
前半の展開から、少しづつ少しづつ変わっていく後半に、
完全に心をつかまれる。
なんともまぁ、ずるい展開。
前半のドギツさも、後半の為に過剰に盛られたスパイスに違いない。
前半でキツいからって休憩で帰ったら間違いなく損する芝居。
演出の、空気のコントロールが、巧み過ぎる。
後半は、佐野史郎らしい佐野史郎で少しほっとする場面も。
選択によって変化していく物語は、自分の選択を受け入れる物語でもある。
自分が選んだ道から目を背けながら歩んだり、後悔し続けながら歩む事は、なんとももったいない事なのだ。
あの時こうしていれば、な思考ではなく、
自分で選んだ道だから、と道を受け入れて歩む事。
「誰が選んだのでもない、自分で選んだ道ですもの」
森本薫『女の一生』の名台詞を久々に思い出した。
私も、「なんであの時…」って考えがちな人間なのだが、
この芝居を一つのきっかけに、久々に前向きな気持ちになれそうだ。
演出・飴屋法水のやり方にはびっくりさせられる。
演出・美術・音楽デザインとクレジットされているだけあって、美術・音楽の演出効果が半端ない。
特に音楽。
ノイズ的なサムシングが、生理的に嫌な部分を非常にうまく突いてくる。
芝居の空気感が、聴覚化されているとでも言おうか。
ヤバすぎる。
音で、会場全体がびくっとする光景なんてそうそう出会えない。
演出家・飴屋法水、凄すぎる。
この人が演出した『4.48 サイコシス』がべらぼうに評判良かったそうだ。
観てみたい。
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2011/07/14 02:20
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