-さいあい- 公演情報 COoMOoNO「-さいあい-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    今後に期待
    精神的に病んだ母のいる家族とその家族に関わる弁護士事務所の人たちを静かなトーンで描いた作品でした。
    残念ながら、脚本・演出・演技・スタッフワークとも客に見せるレベルには達しておらず、粗削りながらも光る可能性といったものも感じられませんでした。変に大人びたことをしようとせずに等身大の表現をした方が良いと思いました。

    物語については、台詞がちゃんと伝わって来なかったため、いまいち良く分からなかったのですが、現代口語的言葉使いと詩的なレトリックを散りばめた文章とのバランスが悪く、比喩を使ってシリアスに語る台詞が滑稽に感じられました。

    劇場を中央で2分するアルファベットの「H」型のステージが組まれ、3つの場面の転換をスムーズに行おうとしていましたが、結果的に各場面でのアクティングエリアが狭まり、空間を無駄に使っているように感じました。
    心境を象徴的に表すダンスもジェスチャーが具体的すぎるのと、動きに緊張感がないため安っぽく見えました。
    終盤の全員が出てきて単調な作業を繰り返すシーンは演劇ならではの表現となっていて良かったです。

    演技についても、抑揚やリズム感のない棒読みと、生きた会話になっていない不自然な間の空け方で、台詞の内容が届いてきませんでした。もしポストドラマ系の作品に見られる、ドライなモノローグの積み重ね的な効果を狙ったのであれば、もっと単調さを強調すべきだと思います。
    弁護士事務所の所長を演じた方だけは役柄が立ち上がっていて良かったです。

    開演前から役者がいる手法を使うのは構わないのですが、役者が暗い雰囲気を引きずったまま注意事項をアナウンスするのは感じが良くないと思います。演出された前説からそのまま本編に繋げる手法は上手く行けば気持ちが良いものですが、こういうタイプの作品では前説を作品の世界観に取り込む必要はないと思います。

    音響に関して、中低域が出すぎていて全体的に曇った音像になっていて、さらに音が割れたり、照明機材が共振したりして、とても気になりました。

    作品の評価とは別に、制作的な事柄に関しても色々と残念な点がありました。チラシを他の劇場で見掛けたことがなく、またチラシや公式サイトにもどのような内容なのかが書いていなくて、一般の客を拒絶しているように感じました。
    また当日パンフレットに役者の名前しか書いてなくて、誰がどの役を演じたのかが分からないのも(おそらく役者名をそのまま役名にしていたのだと思いますが)、「あの役者が良かったから次に出る舞台を観てみよう」という風に次に繋がらないので、もったいなく思いました。
    できるだけ先入観を持たずに観てもらいたいという意図は分かりますが、まずは客に観に来てもらうようにアピールする必要があるのではないでしょうか。

    酷評になってしまいましたが、作・演出家も役者もまだ若いかたたちなので、今後の発展を期待しています。

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    2011/06/29 22:46

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