満足度★★★★★
感想を見失う前に。
観劇後、即座に感想など語り合える機会に恵まれ、メモなど録るのを忘れてました…
突出して感心(生意気ですが)した部分は、文化やコミュニケーションのとり方、価値観などでなく「のり移った対象の生態が持つ言葉の意味は分かるが、概念として取得したい」という異星人(?)の発想。
言葉のもつ意味は薄っすらわかっている。
それはごく短期の一過性健忘のようでもある。
言葉と現象が繋がれば「ああ、それは知っている」と言うのだが、本質的な部分が結合しない。
これは恐ろしい。
「概念」というのは、ほとんどの人が共通して認識している場合もあり、また、ものによっては個人の価値観から形成させた「概念」もある。
感情に密接したものは後者が多いかと思う。
だからこそ、鳴海から「概念」を奪った時の激しい反射に(内面ではそこまで!)という驚きが起き、同時に受け取った真治の激しい嗚咽と続く慈愛の行動がその深さを裏付ける。
鳴海の「愛の概念」=「真治への愛」を理解した途端に、二度とそれを得ることができないと知った真治の悲しみが、痛々しかった。
「愛の概念」を理解したとき、おそらく真治も自分の中に生まれていた鳴海への愛を自覚したんだろうな…と。
最後の言葉を言いながら、ゆっくりと振り返り、鳴海へ歩いていく真治。
ここから次の物語が始まるのだという予感を与えてくれる余韻が、絶妙だと感じた。
セットチェンジ無しでも、ここまでできるのか、という妙技も堪能しました。