アシタ ノ キョウカ 公演情報 コーロ・カロス「アシタ ノ キョウカ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    「昨日」の泉鏡花(キョウカ)は「今日」とか「明日」とか「私」とかの泉鏡花になり得たか?
    作曲が林光、テーマが「泉鏡花」、そして合唱ということで観に行った。
    「合唱」と頭に付くが「オペラ」という言葉にも惹かれたからだ。

    ネタバレBOX

    前半4分3ぐらいは、泉鏡花の世界観と人となりを、残りに短編作品『貝の穴に河童の居る事』を合唱オペラというよりは、音楽劇で見せた。

    世界観は、潔癖症なことと、「水」と「おばけ」を、鏡花の作品を少しだけ散りばめながら取り上げていたが、どうもそれぞれがぶつ切りで、「世界観」までは到達しない。

    基本、合唱の人たちなので、歌はいいのだが、台詞が届いてこないのだ。なんとか台詞を言っています、というふうに見えてしまう。特に物語を語るところではないと。
    台詞は最小限で全部合唱でよかったのではないだろうか。
    もしくは、台詞のところは客演で俳優に任せるべきではなかったのか。

    また、音楽劇パートは、物語なのでそれなりに面白かったのだが、逆に合唱の面白さに欠けてしまっているように思えた。
    しかも、前半部分との関連は薄い。
    もちろん、前半で見せた世界観を具体的にするとこんな作品になるのだ、ということなのだろうが、とにかく結び付きが弱いのだ。
    どうせならば、ある物語を軸にして、それに泉鏡花の人となりや世界観を見せていったほうがよかったと思うのだが。

    さらに、鏡花をキョウカとして、「今日か」として「明日」「昨日」とか「狂歌」とか言葉遊びをしていたが、それももうひとつ響いてこない。せっかくそこから「昨日の人だと思われている鏡花とその作品を」「今」「あたなに」というテーマで始まっているのだから、大切なキーワードとして、ラストまで持って行ってほしかったと思う。
    ラストで、交差点の音と自動車を表して、「現代」にしていたのだけど、そこに「今日」も「明日」も「昨日」も「鏡花」さえもいなかった。

    そもそも、引用する泉鏡花の作品自体が少なすぎたのではないかと思う。せっかく取り上げたのだから、もっと思い入れを持って、大切に取り組んでほしかったと思う。

    「合唱オペラ」ということで、その専門家たちが出演しているのだから、そこに特化して、独自の世界を見せてほしかったと思う。
    せっかくの曲ももったいないし。

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    2011/06/09 07:23

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