IN HER TWENTIES 公演情報 TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER TWENTIES」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    新しいスタイルの力
    観る側への伝わり方がとても斬新に思えました。

    役者たちの背負う時間や感覚との瑞々しさと
    一人の女性に流れた時間の質感が
    とてもしなやかに織りあがって
    ひとつのものとして伝わってきました。

    ネタバレBOX

    両端に二十歳の女性とあと6時間で三十歳になる女性が置かれて
    間に一歳ずつ刻むように8人の女優が並びます。

    ひとりの女性を描く仕掛けは、
    数分で観る側に明らかになる。
    作り手は、カードをオープンにして
    そこから一人の女性の10年間を組み上げていきます。

    20代という言葉に括られていても
    その1年ずつが役者達の異なる個性や色に
    とても瑞々しく染められていて・・・。
    一方で、
    1年に留まらないいろんな尺のさまざまなエピソード、
    音楽の勉強のことだったり、
    仕事のことだったり、
    愛犬のことだったり・・・。
    それらが彼女の歩みを断ち切ることなく
    しなやかに繋いでいく。
    時間の流れに織り込まれていくいろんな速度。
    変化の度合いや深さが
    とても繊細なお芝居で組み上げられていく。
    さらには両端に二つの時点での視座が置かれることで
    時間達がもつ未来としての表情と過ぎ去った時間としての感覚が
    立体感をもって観る側に伝わってきて。

    ひとり一人の役者たちが
    その十年に埋もれることなく
    1年ずつの時間を自らの色でつたえているのが凄くよい。
    20代の入り口と最後の時間、
    インタビューに答える外に向けて語られる2人のお芝居も
    それぞれに安定感と、年齢がかもし出されていて
    とても秀逸。
    フォーマットの斬新さを支える、
    キャスティングであり
    お世辞でも誇張でもなく、一人ずつが
    その時代の日々を過ごす女性として本当に魅力的・・・。
    インタビューを受ける態で両端を支えた二人の女優のお芝居には
    舞台を支える揺らぎのなさというか安定感があって。
    一方中を繋いでいく役者たちには
    それぞれの時代をビビッドに溢れさせる豊かな表現の力を感じた。

    一歩ずつがあって
    時間の均一でない流れがあって、
    それぞれの時点で振り返る過去と
    次の時間の質感を感じる10年。

    積み重なっていくことが重さにならず
    深さや奥行きになっていくような感じに
    がっつりと浸潤されてしまいました。

    ***

    見終わって、とても強くもう一度観たいと思い
    初日に加えて、楽日のマチネ(というか11時公演)も拝見。

    初日と楽日では、
    時間のつながり方の感じがどこか絶妙に違って、
    一年ごとのつながりにはバラツキがやや薄れ、
    十年の中にある目に見えないうねりのようなものが
    強く感じられるようになっていました。
    そこには、おなじ見え方と、違う雰囲気が共存していて
    この舞台、生き物のようだと思う。
    その回ごとの揺らぎは、
    なにか、この女性が自らに抱く感覚
    そのもののようにも思えて。
    舞台上の女性に積み重ねられた
    彼女の時間のリアリティに
    思い切りはまってしまいました。


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    2011/06/07 10:56

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