デンキ島~白い家篇~ 公演情報 劇団道学先生「デンキ島~白い家篇~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    震災後、初めて感動した作品
    そのことをいち早く書こうと思ったのですが、震災の翌日から長期ログインエラーになり、投稿できない状況で、時期を逸してしまいました。
    でも、備忘録として書いておきたいと思います。

    同じシリーズの「松田リカ篇」があまりにも自分には合わなかったので心配しましたが、こちらは、非常にわかりやすく、ストーリーに惹きこまれ、震災で気力も萎えていたところに、再び、また劇場へ行こうという思いがわいてきました。

    蓬莱さんが外部に書き下ろした作品のほうが自分は好みです。

    いつも別人の作品のようにさえ思えるのはなぜでしょう。

    主人公の坂本シンヤがとにかくストイックで魅力的な男に描かれ、山本亨が好演。

    大人の男女の愛を描ける蓬莱さんは素晴らしい作家だと思いました。


    開演直後、舞台に扮装のまま、出演者全員が並び、青山勝さんだけが衣装をつけず、主宰としてこの震災を踏まえ、心のこもった挨拶をされ、胸を打たれました。

    ネタバレBOX

    舞台は同じデンキ島で、セットも松田リカ篇とほぼ同じ。

    中年男性になった主人公と同級生たちが10代の回想場面をそのまま演じるのが面白い。

    船の接触で漁師仲間の恨みを買った坂本が、やくざになったが失敗し、島に舞い戻ってきたかつての同級生の実子である子分の功名心や、その情婦になった女性(三鴨絵里子)の嫉妬から、事件に巻き込まれていく。

    仲間とやくざの息子に漁船を燃やされ、漁に出られず、酒を飲まないのに酒びたりになった坂本が、事情を知って怒りを爆発させる場面、演歌の流れる中、スローモーションで乱闘が演じられるが、東映映画を観ているような胸のすく名場面となった。

    大谷亮介の演出が男のドラマを浮き彫りに、女の情感をたっぷりみせる。

    情婦役の三鴨は、恋心を抱き続けていた坂本と再会したが、まったく覚えていないと言われて残忍な感情に駆られる女を絶妙に演じた。

    対して、かんのひとみが、夫の借金でやくざに付け狙われ、デンキ島に逃げ込んで、夫婦を偽って坂本にかくまわれるうち、坂本に惚れる古風な女を控えめに演じる。

    坂本は船を燃やしたのが同級生のやくざではなかったことを知り、悪になりきれないやくざと情婦は逃げていた女を見逃し、借用書も破り、島を出ていく。
    坂本と女は結ばれることをにおわせて幕となる。

    人間的な弱さがあっても、本当の意味での悪人は登場しない。

    山本亨は、高倉健の役どころのように無口で優しくたくましい男、坂本を魅力的に演じたが、「松田リカ篇」で演じた古山の坂本のイメージを踏襲している演じ方だった。

    いつか古山にも「白い家篇」の中年の坂本シンヤを演じてほしいと思った。




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    2011/05/30 20:44

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