新宿カルト9 公演情報 劇団東京ペンギン「新宿カルト9」の観てきた!クチコミとコメント

  • タブーのようで
    劇団紹介にもあるように、“ゆとり世代生まれであることをいいことに「やってはいけないことを分からないフリしてやってしまう」”のが作風で、今回などもろにそれを狙ってやったのだと思われる。
    しかし、本作を拝見した限り、「言っちゃいけないことを言っちゃう」つもりでいて実質何も言っていない、と感じた。

    各宗教とそれを紹介(代表)するキャラクターが、宗教を象徴しておらず、特徴を捉えていない。なので宗教の要素を使って笑いを取っているが、風刺になっていない。
    総じて「宗教キモーイ」のまま終わってしまっているように感じて残念だった。

    この作家・この劇団、というかこの座組の共通見解として、何を宗教と捉え何をカルトと認識しているのか、何を許容し何を批判するのか、その線引きが見たかったし、それがハッキリしていればギャグがおのずと風刺に近づくのではないだろうか。

    ともあれ、劇団のカラーを積極的に打ち出しているところや、色々な面白い試みに取り組むところなど、意志や意欲の面で共感や好感を覚えた。

    ネタバレBOX

    特徴を捉えていない、という部分で言えば、最後の創価学会のところが顕著。
    実質、名前がそのままなだけで、他の宗教/カルトに置き換えても成立してしまう内容なので、危なそうでいて全然危なくない。

    当事者が見たとしても、あれでは痛くも痒くも無いのではないか。
    むしろ「やっぱり外の人はわかってくれないよねー偏見もつよねー」という、一般論的な被害者意識を抱くだけで終わってしまい、その宗教の持つ課題や、社会との立ち位置などに考えを巡らすことが無いように思う。

    また、逆に信仰を抱かない人間にとっても「やっぱ宗教ヨクナイ!」とぼんやりしたイメージで忌避する日本の現状(だと思ってます)のまま終わってしまい、建設的な批判にならないと思う。

    今作で「宗教は最高のエンターテイメント!」と掲げてタブーに挑戦する劇団東京ペンギンが一番戦うべきは、創価学会単体でもなければもちろん宗教全般でもなく、「宗教=タブーっぽくね」と安直に考える類の信仰のない人々と、自分の宗教に批評的な視線を抱かないタイプの信者なのではないだろうか。

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    2011/05/20 21:35

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