鳥瞰図 ―ちょうかんず― 公演情報 新国立劇場「鳥瞰図 ―ちょうかんず―」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    芝居じみた演出がやや残念
    「鳥瞰図」は、初めて早船作品に出会った舞台で、それ以来、早船さんとサスペンデッズファンになった自分には、待ちわびた待望の再演でした。

    ですが、私の50余年に亘る観劇経験において、どうも初演より進化した再演作にはあまりお目に掛かったことがなく、今回も、ややそういう不安があっての観劇でした。

    でも、やはり、最初の衝撃は変わらず、早船さんの物語構成、人物の動かし方、台詞で、感情を如実に表出する劇作家としての手腕に、改めて打ちのめされる思いでした。

    ただ、その後、ご自身の演出での作品を多く拝見したせいか、今回は、この早船さんの名戯曲と違う空気の演出の不自然さが目についてしまいました。

    その点が、やや残念!
    いつの日か、早船さんご自身の演出で、この作品をもう一度拝見してみたい気がしています。

    ネタバレBOX

    茂雄役が、浅野さんから、入江さんに替わられ、入江さんの茂雄も、自然体で良かったのですが、何しろ、初演の浅野さんの当意即妙の名演技が今でも目に焼きついているため、どうしても、不足感を感じてしまいました。

    野村さんは、昔テレビで子役として活躍されていた時、拝見して以来でしたが、美しい女性に成長されて、感慨深い思いがしました。

    知っているストーリーでも、やはり、終盤の渡辺さんの独壇場には、涙が溢れました。

    先日の震災で、液状化現象で多大な被害が出た地域を舞台にしているので、初演では感じなかった別の感情も湧き上がり、嗚咽しそうになる部分がありました。

    初演で、圧倒的に面白かった場面が、今回の演出では、あまり前面に出ず、全体的に、テンポが悪くなったような印象がありました。
    各人の動作が自然な流れにならず、時々細切れ感があるのが残念でした。

    また、ビデオをセッティングしてからの音声が聞こえるまでの間など、細かな所作の間が、不自然で、これが、作品世界に引き込まれる気持ちに微妙にセーブを掛けるきらいがありました。
    早船さんの書く台詞が自然なだけに、この雰囲気にマッチしない、演出のわざとらしさに、少し鼻白む思いを感じる瞬間が幾度かあり、芝居じみて感じてしまうことが、もったいないなと感じました。

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    2011/05/17 23:57

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