被告人ハムレット 公演情報 声を出すと気持ちいいの会「被告人ハムレット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    抜群の完成度、その才能恐るべし
    かなり期待して観に行ったが、期待以上の作品だった。
    上演時間1時間20分と聞いて、「今回は短いんだ」と安心したら大間違い。
    構成・演出、ともに優れ、2時間くらいに感じたほど密度が濃く完成度が高かった。
    この劇団は俳優の演技たちの基礎ができており、臆することなく、迫真の演技ができるのが強み。
    いくら作・演出がよくても俳優が素人くさかったら、こうはいかない。
    終盤の息詰まるような臨場感、ぜひ、もう一度観てみたいと思う作品。
    有名俳優を起用して中央の劇場で上演しても、話題作となるだろうと思わせる。
    山本タカ、末恐ろしい才能の持ち主である。

    ネタバレBOX

    シェイクスピアの『ハムレット』の主人公、ハムレットを現代の法廷で裁くという趣向がわくわくさせる。
    セット配置から観客は法廷の傍聴人の気分で芝居を見守ることになる。
    原作をノーカットで上演すると4時間くらいかかるんでしたっけ。
    明治大学文化プロジェクトで2年前、約3時間にまとめて上演したことがあったが、今回、女性の検察官(オフィーリア)を演じる鈴木由里は、このときハムレット役を好演しただけに、彼女のオフィーリア役約を見られたのが嬉しい。
    耳に注ぎこまれる毒=悪意の情報が、ラジカセで表現されるなど、面白い演出だと思った。
    裁判の中でハムレットによる殺人劇が再現されるわけだが、その中で裁判官や検察官たちが『ハムレット』の登場人物を演じる。
    しかし、それはさらなる悲劇を呼び、現実とも虚構ともつかぬ錯綜のるつぼに観客は巻き込まれていく。
    この短い時間の中に『ハムレット』の名場面が演じられ、原作を知らない観客もダイジェストを観ることができ、裁判によりテキストの解釈がなされていくので、原作ファンならさらに楽しめる趣向だ。
    終幕の鮮やかさに呆気にとられながらも、我々のハムレットは今に生きている、と実感できる芝居だった。

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    2011/05/10 16:02

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