満足度★★★★
躍動する身体の存在感
クラシック音楽をバックに、スピード感のある動きの中に鋭さと柔らかさを併せ持つ非常にクオリティの高いダンスが繰り広げられ、時間と空間における身体の在り方について新鮮な印象を残す作品でした。
真っ黒の空間に真っ黒の衣装で、前半はバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ1番&2番やシューベルトのピアノソナタ第21番を中心とした音楽が使われ、照明もシンプルな中でそれぞれのソロが続き、各自の個性を楽しみました。テンポのゆったりした曲でも細かく早い動きが多用されていて、しかもそれが曲の雰囲気に合っていたのが印象的でした。
有名な『シャコンヌ』を用いた佐東利穂子さんのソロを経て、後半は色々な曲や群舞や照明効果が使われていて躍動感がありましたが、要素が多過ぎるためゴチャゴチャしていて、芯が見えないように感じました。
勅使川原さんの振付は特に足捌きが個性的で、爪先と踵を細かく床に接地させ、ムーンウォークを断片化・高速化したような不思議な浮遊感がありました。
勅使川原さんと佐東さんはダイナミックで流動的な動きが途切れずに持続するのが素晴らしかったです。若手4人は技術的には勅使川原さん・佐東さんに比べてまだまだこれからと感じましたが、難しい振付を踊りきろうとするエネルギーが魅力的でした。
公演の内容とは直接関係しませんが、チラシのデザインがかなり格好悪く、勅使川原さんのことを知らない人にはアピールしなさそうで、勿体なく思いました。