この公演を語るうえで「D-ブリッジ・テープ」沙藤一樹著の盗作疑惑について触れずにいることは出来ない。
そしてそれを踏まえたうえでこの公演を純粋に評価することも出来ない。
満足度★
酷い
見ていて恥ずかしくなってしまった。高校生に毛が生えた程度のクオリティ。
実際に学生の発表会であれば微笑ましく見れたかもしれないが3500円となると…。
ネタバレBOX
脚本には矛盾が多く、演出も一貫性がなく雑。
例えば新崎の撮影シーン。新崎が大袈裟な演技をするところが面白味であり話の中心だが、何故かこのシーンのみ谷本が棒読みの演技を始める。
また日向の演技も非常に拙く(これは役者の力量の問題だろうが)、新崎だけが責められていることに違和感が残る。
ドラマを作りたいのであればコメディ部分も筋を通さなければいけない。思い付きでつけられたかのような浮いた場面が散見される。
役者の演技も「面白げ」に喋ろうとわざとらしい抑揚をつけ内容が一切伝わらず、感情的になるシーンも「良い台詞風」に喋ろうとしているためリアリティのかけらもない。感情的になっている自分によっているかのようだ。
BGMも統一感がなく、転換が雑。またここまで暗転の多い舞台は久々に見たがこれは演出家の能力の問題ではないだろうか。
終盤の繰り返しのシーンも冗長。百瀬が死んだところで盛り上げるつもりが、「もうわかったから」という心の中の突っ込みで冷えていく。
百瀬、起きないでくれと半ば祈るような気持ちで見ていたがやはり奇跡の復活。
「大事なのは次のカット」と言っていた彼らの決意は何処に行くのだろうか。
細かいことは気にせず雰囲気を楽しんでくれ、という作品か?
メッセージ性も非常に表面的な台詞通りのものしかない。また話はそれるがキャバクラで働き生活費を稼ぐ女優を頭ごなしに否定するシーンは理解に苦しむ。短い時間で高額の時給を稼げる仕事を選び、女優業により多くの時間を割く判断は一つの考えとして真っ向から否定出来る物ではない。そしてそこで仲違いしたかのように見えた二人は特に解決することなくラストを迎える。
好みではないという以前に真面目に本気で取り組んだ結果出来上がったものと思えず厳しい言葉が続いてしまった。
そして突っ込み所の多い作品の方がある種記憶に残るのだなと気づく。
終演後、ほとんどの観客が役者との面会のため劇場に残っていた。
関係者へ向けた発表会か。
このような厳しい目の届かない閉鎖的な環境でクオリティをあげていくのはかなり難しいだろうが、やるのであれば一般の観客に届くよう頑張ってほしい。
満足度★★★
露出狂
最近よく聞く中屋敷法仁の名前に釣られてタイトル以外の情報無しに見に行ったところ、客席の女性率の高さにまずたじろぐ。
舞台は序盤、漫画から飛び出して来たような登場人物が次々と登場、若いキャストの未熟さもありちょっと痛々しいというか、これは最後まで持つのかと心配になってしまった。
ただ舞台が進むに連れその未熟さが勢いに変わり、台本のイカレ具合も相俟って最後まで一切停滞することなく2時間近い舞台を終えていました。