満足度★★★★★
哀しく、美しい。
この類の原発や戦争モノはどこかメッセージが強すぎたり、暑苦しかったり、胡散臭かったりしてしまうのだが、この作品にはそれがない。安心して眺めていられたし、安心して哀しめ、感動できた。
ネタバレBOX
最後舞台上に机とイスだけ残される所が、ものすごく哀しく、感動した。
カーテンコールがないのが寂しいが、「誰もいなくなった」ということを表現する上ではあの演出は必要だし、死んだ役を演じた役者が最後出てこないところにも谷さんの意図があるのだろうと終演後自分で納得した。
満足度★★★★★
素晴らしい
前回の「LAST SMILE」が人間賛歌を全面に出した作品だったのに対し、今回は人間賛歌のメッセージを残しつつ、恐怖、笑いの要素をうまく入れてきた。詳しくはネタバレBOXにて。
ネタバレBOX
内容は大きく前半と後半に分かれる。
前半はある研究室の廃墟の2階が舞台となる。昔人体実験が行われていたと噂される山奥のこの建物に映画サークルの4人、研究者とその助手、廃墟オタク、小説家が集まり、そこで次々と殺人事件が起こる。最初に映画サークルのアサマ、カクダテの2人がそれぞれ暗闇の中で刺殺、毒殺される。次に映画サークルのロラク、小説家のイワツキが殺される。人間には不可能と思われる殺人に、残された人々はこの場所の都市伝説は本当なのではないかと思い始め、研究者のネロメが外へ飛び出す。ここで助手のミナカタが、奥の部屋に入り日が明けるのを待つことを提案する。しかし、廃墟オタクのツジムラがその部屋に入ったところでミナカタは部屋の鍵を閉め、毒ガスにより毒殺する。ここで最初に殺されたはずのアサマが現れる。実はこの殺人は、アサマが死んだフリをして行っていたことであり、それにミナカタが協力していたことを知らされる。アサマは部屋に入る前に逃げ出したネロメを殺し、共犯者のミナカタも銃殺。そして残された映画サークル仲間のツバキをナイフで刺そうとしたところで暗転する。
後半はこの研究室の3階が舞台となる。後半になると登場人物に映画監督、脚本家、助手、制作、助手の彼女、制作の友達、土方の7人が加わる。そして前半に見せられていたものは映画の撮影現場であった種明かしがされる。そして前半の映画の舞台裏ではどんなことが起こっていたのかをコメディタッチで描いていく。
この作品のオチとしては、「お化けに人々が殺される話と見せかけて、お化けに人々が助けられる話」というのが非常に面白いところである。後半の伏線の回収の見事であったし、前半もいろんな意味でまんまとだまされた。
本当に楽しめた100分だった。脚本と俳優陣に拍手。