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kazuoga5409様
主宰劇団ピャー!!にて主宰兼作演出をしております塚田朋揮です。
先日はご観劇下さり誠にありがとうございました。
感想も書いて下さりありがとうございます。大変勉強になります。
そして、ご期待に添えず、退屈な時間を与えてしまい、心苦しい思いで一杯です。
舞台作品上でお伝えしなければ意味のないことを承知の上で、少しでも観にきて下さったことがなにかのプラスになることを願い、煩わしいかもしれませんが、誠に勝手ながらどうか作品でやりたかったことを文章でお伝えさせて下さい。
とはいえ、詩的世界観をベースにしている都合上、全て言おうとすると膨大な文章になってしまうので、なるべく簡潔にお伝えします。
情報を含めた大量消費社会に侵食され流されていく人間の精神世界を背景に作品を描きました。
Twitterでの文章はリツイートされて、自分でも把握できない見ず知らずの人のもとに届き、自分でも気付かないうちにその文章を元に別のやり取りがされます。
また、ニコニコ動画という動画サイトでは、自身が作成しアップロードさせた音楽作品を元に、様々な人が歌ったり、PVを作成したり、踊ったりと、どんどん自分から離れて作品が発展していきます。
自分のパーソナルな部分が大量消費社会の商品のようにあれよあれよと流通していく感覚があります。
また、オンラインゲームやソーシャルネットワークや掲示板等で、様々なキャラクターを使いわけて生きていることが現代人の根底にあると考えています。
元来、会社・家族・学校・地域等で使い分けていたキャラクターが、社会性とは別の価値観を軸に、より幅広く拡大しています。
また更に、いまの若者は生まれてきてからテレビ・漫画・映画・音楽・本・ネット情報等によって、膨大な量の物語を浴びていることにより、自分の経験や個性や思想といったものが、「その物語みたいだな」と、「◯◯みたいだな」と、自分が初めて手に入れたものという実感から離れ、物語に回収されていく感覚があります。少なくとも僕には。
そういった、確固たる自分自身というものが希薄になっていくことに対して、ポジティブに捉え、むしろより希薄に拡大していき混ざりあって行こう、という価値観を提示したいと思いました。
この作品では大量に見立ての演出がなされています。
知人とのやり取りがゲームの戦闘画面みたいに見える、トイレでのかけあいが落語みたいに見える、パチンコをしている光景が東京大空襲に見える。
また、比喩にまみれた言葉使いも膨大になされています。
そうやって世界が様々な比喩で広がって見えていくにつれ、私も世界と混ざりあい、シンクロし、広がっていきます。
一方、それと同時に、私をメタ、客観的に見て規定しようとする自分も強く存在します。
私が広がっていくことへの恐怖心により、自分はこうだ、自分はこうだ、と、より客観的に自分を定めようとします。
そういった相反する精神をベースに物語が進みます。
メタとシンクロが徐々に加速していく、そんな女の子の心象風景を綴るように具現化した舞台を、構築しよう、という狙いでした。
他にも、大きな物語の喪失と小さな物語、生きている現実感の希薄さ、セカイ系と社会の距離感、ゲーム的リアリズム、お笑い文化の浸透、震災問題等を絡ませながら作品を描きました。
長々と書きましたが、勿論、舞台作品上からお伝えし体感して頂けないと全く仕方のないことは承知の上です。
お伝えできなかったのは力量不足ゆえですので、もっともっと精進していきますよう頑張ります。
それでも、「お客さんと対話をできなければ意味がない」というモットーの上で演劇活動をしている為、どうにかして触れ合いたく、書かせて頂いた上記の文章がほんのほんのほんの少しでもなにかになれば本当に嬉しいです。
塚田朋揮
2013/05/10 11:11
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