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アンゲーテッドコミュニティ

アンゲーテッドコミュニティ

北京蝶々

テアトルBONBON(東京都)

2010/05/26 (水) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

良かったです
まず舞台が目を引きました。
二階建ての造りで、パネルの移動によって空間を分けていて「凝ってるなあ・・・」と感心してしまいました。二階部分を下から見上げるような見せ方は新鮮だと感じました(前の方に座ったのでちょっと首が痛くなりかけたが)。

映像効果がふんだんに使われており、ドキュメンタリー風の芝居の作り方と相まって映像っぽい演劇という印象を受けました。ちょっと映像効果に頼りすぎかな、という気もしましたが楽しめたのでよかった。

音響・照明ともに主張しすぎずソツなくこなしてる感じがして気持ちよかったです。

近くで見たんですがなぜか(演出がそうなっている?)舞台が遠く感じられました。役者さんは素敵な人たちぞろいなのでちょっともったいない気もしますね・・・。


ちょっと考えさせられる新鮮な芝居を見たい方にはおすすめです。

ネタバレBOX

セキュリティとプライバシーの問題、監視化が進む社会への危機感。
自由を犠牲にして安全と安心を得るか、またはその逆か。
それらは地域や隣人、家族との関係が希薄化している現代社会において、今後ますます大きな問題となっていくだろう。
まずはじめにそういった問題提起を強く受け取った。

おとなになったかつての子供たちは、昔の誘拐事件について罪悪感を抱き罪を償い続けている。そして被害者であるかつての少女も、同じように罪悪感を抱き償いをしているように見えた。それは犯人、というよりはむしろ障害を抱えた「おにいちゃん」へのものだろうか?おそらくそれだけではなくもっと大きな何か――家族や社会などにも及ぶのではないだろうか。
だからこそ彼女は子供たちをゲートの外に連れ出す…。
そして「おにいちゃん」もまたどこかで罪にさいなまれ償いを続けているのだろう。

かつて罪を犯した者は二度と元には戻れない。しかし犯罪者とは何か?
法に触れてもばれなければ、裁かれなければ「犯罪者」ではないのか。
それは違う。
この物語では皆が皆、罪悪感を持ち、償いを行っている。そういった意味では皆が「犯罪者」で「前科持ち」で「善良な市民」である。

人間はそもそもそういった危うい領域を生きていくものなのだろう。だとするとゲーテッドコミュニティや監視網はより多くの「犯罪者」を作りだしていくことになるのかもしれない。

一見自由を手に入れたかのように見えた二人の刑事も、真の意味では未だゲーテッドコミュニティに生きている気がしてならない。
逆にいえば本当に意味での「アンゲーテッドコミュニティ」などは存在しえないのかもしれない。むしろそれを求めていくことが生きるということなのだろうか・・・などと考えてしまう。


この物語は単なる問題提起や社会問題ネタの芝居ではなく、実在する「ゲーテッドコミュニティ」を象徴化することで人間の生きざまに対して挑戦しているように思えた。

これからもどうか素敵な作品を作り続けていってほしいです。

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