満足度★★★★★
濃密な台詞劇の世界で。
再演だそうですし。まあ、嘘偽らずに、正直に言うとね、最初、「なあーんだ、二十の学生ん時のやつね。」なあーんて思ったんですわ。でも、これって面白い。
ネタバレBOX
非常に演劇的な演劇かなあ。故に、簡単で誰にでも分かると言う芝居ではないと思います。
二人の女の二人芝居ですから。それも具体的な「物語」が有る訳でもなく、延々と台詞が洪水のように流れてくる。初めはね、ラストに落ちのように二人の関係が、パって知らされて大団円かなあ、なんて思ってたんですけれど、そんな安易な事は無し。最後の最後まで緊張した演劇の、その「濃さ」の中にどっぷりと浸かったまんまです。
分類すると「不条理劇」になるんだと思います。途中、カフカみたいな所もあるし。でもね不条理劇って好きじゃないんですよ、ベケットみたいなね。
何でかって言うと不条理劇って乾いてる。乾燥していて、人間の血しぶきが感じられない。なんか演劇のもつ「生」の力から遠い気がする。でもその「生」への距離は、不条理劇に「女」と言う「何か」が欠けてるせいかなって思ったりもした。女性の役柄が無いとか、そういう意味では無く、何か「女」と言う、ある本来的に不可解で、それゆえ根源的に「生」と不条理にも結びつかなければならないような存在がね。
そんなことも考える芝居だったかなあ。まあ兎に角、ずっと緊張した。