
音楽劇 金鶏 二番花
あやめ十八番
座・高円寺1(東京都)
2025/07/07 (月) ~ 2025/07/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
浜端ヨウヘイさんの主演舞台「金鶏二番花」を鑑賞しました。
舞台を観るのは初めてでした。
舞台上のヨウヘイさんは、ライブで見てきた姿とは全く違って見えました。
声を聴けばやっぱりヨウヘイさんなのですが、舞台を観ている間いつもより遠くにいるようにもすごく近くにも感じる瞬間がありました。
ヨウヘイさんが歌い出すと一気に引き込まれ、舞台がヨウヘイさん一色になるのが印象的でした。
私はこれまであまり演劇そのものに触れる機会がありませんでした。
なので戦前と戦後が交互に描かれ次々と移り変わる場面、降り注ぐような歌やダンス、登場人物達のセリフに圧倒され、最初は目が回りそうになりました。
でも作品が進み各々の人物像が徐々に浮き上がってくるにつれ、それぞれの人物が厚みを帯びていきました。
今日初めて出会った人物一人一人が、話が進むにつれまるで昔から知っている仲間のように親しみを感じていくのが不思議な感覚でした。
普段は口下手だけど誰よりも熱い情熱を胸に秘めている出雲、ぶっきらぼうで粗野だけど優しさを秘めている宮、大好きな太陽の光をを見つめ続けたいという願いが叶わなかったペケ美。
自分の言葉が多くの人の、そして息子の命をも奪ってしまったことで自責の念に苛まれ続けた河内。
自分の作り出したものが、誰かの大切なものを奪ってしまったことに葛藤し苦しむ金原。
それぞれが見ている蜃気楼の中に、自分だけの金鶏を見つけようと必死に生きている姿に心を打たれました。
全ての登場人物に幸せになってほしい、あんなに辛い戦争を乗り越えてきて幸せにならないなんておかしい、と心から思いました。
また時に言葉は人の生き方を左右するほど大きな影響を与えることがあると改めて感じました。
河内が語っていた学徒出陣の際のエピソードのように、人の命を奪いかねないほどの刃となることがある一方で、人を絶望の淵から救い出す力もあります。
サナトリウムでハナに宮が「あなたの松明になりたい」と言ったことが、兄を永遠に失ったことを知りまた自身の身体の状態のことで希望を失っていたハナ自身に、どれだけ希望を与えたのだろうと思いました。
ヨウヘイさんの、宮の魂の叫びに心が震えました。
一ヶ月ほどでこんなに素晴らしい舞台を作り上げてきた劇団の皆さん、ヨウヘイさんの努力や熱意に圧倒されました。
明日で終わってしまうなんてなんだかもったいない、もっと続いてほしいなと感じました。
一生忘れられない、素晴らしい経験をさせていただきました。ありがとうございます。
私の中の金鶏とは何なのか、これから探し続けていきたいと思います。