もくもくの観てきた!クチコミ一覧

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すべての幸運を手にした男

すべての幸運を手にした男

東京グローブ座

東京グローブ座(東京都)

2025/11/14 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/11/14 (金) 18:00

2025年11月14日初日公演、15日、16日(マチネ)と3回観てきました。
とっても面白かった!!3幕構成の3時間10分、見終わって劇場を出る時の多幸感、大満足でした。

ストーリーのネタバレがある部分についてはネタバレBOXに記載します。ネタバレにならない範疇でいうと、「ストーリー」「キャラクター」「舞台美術」「劇場」が特に面白かったです。

・ストーリー
私はアーサー・ミラーの戯曲を初めて見たので、作家の傾向とか知りません。だからかもしれませんが、今見ても設定やストーリー展開が新しいと思いました。1幕を見ただけで、大体今後の展開が分かるなぁと思っていましたが、それをちゃんと見せてくれる所、裏切ってくるところ、両方あって退屈しませんでした。
一度の観劇ではストーリーがちょっと頭に入ってきにくいところもありましたが、パンフレットにある用語解説を読んで2回目の観劇に向かうと、ストーリーや台詞の意味が分かって、より面白かったです。

・キャラクター
多い、少ないはあれど、全キャラクターに見せ場があって非常に面白かったです。
みんなひと癖もふた癖もある変わり者で、でもどこかで会ったことがあるような人達で、魅力的でした。

・舞台美術
美しかったです!1幕のセットが特にお気に入りで、1幕ラストの夜から朝になる演出がとにかく美しかった。映像に残してもらいたいですが、肉眼で見ないとあの美しさは分からないかも…と思います…。芸術だなぁと思いました。
2幕と3幕では家の中になり、多分セット自体は変化してないと思うんですけど、壁変えたのかな?と思うほど雰囲気が変わっていて面白かったです。3幕ではヴィルヘルム・ハマスホイ作画になってました。怖かったです。

・劇場
東京グローブ座には初めて行きました。円形になっていて、3階から見下ろすのと1階から見るのとで景色が全く変わって面白かったです。3階の椅子がフワフワでそれも良かったです。
マイクを使わない肉声でのお芝居だと聞いていたので、3階からも聞こえるかな?と不安がありましたが、杞憂でした。とっても聞き取りやすく、景色は違えど音声は1階からと全く変わりませんでした。
3回ともノンストレスで見ることが出来て大満足です。

休憩が2回ある3幕構成の舞台というのは初めて観劇しましたが、今までに見たことがないもの、あるいは見たことがなくて見たいと思っていたもの、を体験できて大満足でした。
出来ることなら円盤にして残してもらいたいです…。

ネタバレBOX

1幕は比較的ハッピー…だったと思うんですけど、キービジュアルの不穏な感じや、1幕ラストでここまでハッピーにさせるというのはもう、今後落ちますよというジェットコースター🎢の頂点からこれから先の下降レールを見ている気分でした。
1幕はキャラクターや状況の説明が主だったと思いますが、ヘスターとデイヴィッドのイチャイチャや、アメリカンジョークの飛ぶ台詞回りや、ヘスター父親の死という劇的な展開が面白かったです。エイモスが表情豊かで見ていて面白かったです。
あとはあまりにもデイヴィッドが幸運すぎて見ている私は怖かったです。ヘスターの「違うの!死んでるの!」と泣き叫ぶシーンは想像出来てたけど、見たいものを見せてくれてとても良かったです。真に迫る悲しい叫び声で、物語が始まったんだなと思いました。
エイモス役の大野拓朗さんが推しなので、台詞は少ないですが舞台上にずっと居るので嬉しかったです。

2幕はエイモスの転落と、対して幸運が止まらないデイヴィッドの対比がこれでもかと表現されていて面白かった…。スカウトの話を聞いている間のエイモスの表情の変化…目から光が失われ、口元は緊張で強ばり、呼吸が変わっていく感じに見入りました。父親の明るく諭す言葉についに爆発して怒鳴り散らし、泣き喚き、髪の毛もグシャグシャ、涙か鼻水か分からない状態の姿を3回も見られて、これだよ、これが見たかったんだよ…と思いました。本当にありがとうございます。
1幕よりみんな暮らしが良くなったのか、良いスーツを着てたりして、2幕は幸せな雰囲気で良かったです…。

3幕はいよいよ来るべき時が来たという感じで、雷鳴は鳴り響き、部屋の中は真っ暗で、友人や妻と怒鳴り合う展開に、人怖な話もあり…そんな中でも相変わらず主人公のデイヴィッドだけは幸運が止まらない。もうめちゃくちゃ怖かったですね。幸運な人を見ているのに、こんなにも恐怖を感じることってあるんだっていうのは初めての感覚でした。ラストまでずっと集中して物語の展開を見守ることが出来ました。
3時間10分もあれば集中力が続く筈がないと思うんですが、それが可能だったのはストーリーと演者さんの熱演と、劇場の環境などいろんなものが良かったからだと思います。観に行けて良かったです。
千秋楽まであと少し、まだ見てない方は是非、観に行ってみてください!
海と日傘

海と日傘

R Plays Company

すみだパークシアター倉(東京都)

2025/07/09 (水) ~ 2025/07/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/07/11 (金) 19:00

7月11日(金)、12日(土)(2公演)、13日(日)(アフタートークあり)の4公演見てきました。

スゴかったです!!!
まず、舞台会場に入るとステージには畳と机があります。ステージの左右と奥に半透明なカーテンがかかっていて、その向こうが透けて見えます。そこには椅子がたくさん並べられています。
舞台美術は開演前と終演後に撮影可能なので、海と日傘で検索して見てみてください!
音楽もなく、かすかな灯りで灯された舞台に観客はお喋りできる空気じゃなく、会場から開演までの30分間シン…として待っていました。なんだか喋ってはいけない気がするんです!こわいです!(いい意味で)

役者はみんな生声で、マイクなどは使いません。衣装を場面で変えることもなく、小道具も日傘(と椅子)以外登場せず、食器もハチマキもノコギリもパントマイムです。椅子は布団の変わりにもなります。(椅子に腰かけると布団で寝てるんだなと分かります)

この舞台は観客の想像力によって、どこまで面白くなるかが変わる。そう思いました。パントマイムや台詞で分かる動きや時間の流れ、分かりやすい説明はないので、見逃すと理解できません。
どうかこれから観に行かれる方は一瞬たりとも無駄な動作も台詞も無いことを理解した上で、目の前のすべての事象を想像力を駆使しながら理解しようと全力で見届けてください。
そうしてやっとこの物語は完成します。
この作品はとても面白いです。アフタートークありの13日の公演は満席だったそうです!👏👏👏もっとたくさんの人に見てもらいたいなと思って、コメントしました。気になった方は観に行ってください!

ネタバレBOX

大野拓朗さんのストレートプレイは7年ぶりということですが、いきなりすごく難しいことに挑戦していると思います。長崎弁だし、パントマイムで食事など表現しなくてはいけないし、その上に台詞も説明口調ではないし、ミュージカルのように感情を歌やダンスで表現することは出来ないし、ちょっとした目線や手先や喋り方で表現して、一番長く舞台上に居るからお客さんを惹き付けないといけないし…。しかもこの戯曲を毎日公演して、日によっては2回も演じている。すごすぎる…。
ラストシーンでは毎公演泣いてしまいました。
南沢奈央さんは美しくて、衣装のワンピースが華やかで、居るだけでその場が明るくなるような雰囲気があって素敵でした。だからこそラストシーンはほんとに…何度みても泣いちゃう…。
瀬戸山夫妻を演じている斉藤淳さんと、阿南敦子さんは演技が上手すぎる。九州出身の友人が言っていましたが、斉藤さんの長崎弁があまりにも本物なので、そちらの出身か調べたらしいです。(違ったそうです)
他の皆さんは出番は少ないですが、常に舞台脇に控えており、様子を見ることが出来ます。時には演出としてステージを横切り、観客に印象付けます。
ほんとに面白い舞台です。
ライブ配信、アーカイブ配信も決まったので、そちらも見たいと思います。
1度や2度、4度だけではこの舞台は理解しきれません。もっと見て、彼らの生きた言葉を受け取って、考えて、解釈したいです。

私も虹の中にいるんだろうか?

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