
ライバルは自分自身ANNEX
宝石のエメラルド座
ザ・スズナリ(東京都)
2025/08/22 (金) ~ 2025/08/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ああ私は今一体何を見せられているのだろう。
そうちゃんと思えるかがナンセンスの然るべき実感だと私なりに定義している節があり、それはもうちゃんと、バリバリにそう思いました!手練れ俳優が揃いも揃ってあんな事やこんな事を!贅沢です。

われわれなりのロマンティック
いいへんじ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2025/08/29 (金) ~ 2025/09/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
社会の規範から外れた夫婦や家族や性愛をやりながら、その生きづらさとだるさとままならなさを彷徨いながら、私もまた"われわれなりの"関係を、ロマンティックを探し続けてるんだなと改めて。
"特定の人のことが好き"って、どんなかたちであっても対象が一人でも複数でも、たとえ簡単には人に言えない/説明できない関係でもうれしくて、そして時々とてもしんどい。だから、名前をつけてくれて/つけないでいてくれて、ありがとう。どちらでもいいって言ってくれてありがとう。人知れず暗闇を抱えながらつとめて明るく戦う理子の涙に涙を重ねた。ゆっくりあるいて、なるべく寄り道をして帰ったし、まだまだゆっくり、なるべく時間をかけて向き合って言葉にしたいし、向き合いたくない/言葉にしたくない自分も認めたい。きっとそうやって時に孤独に、時に人と繋がりながらつくられた作品だと思うから。思ってる以上にずっとずっとそうだと思うから。
いっしょのソファに座りながら別のこと思ったり、いっしょのソファには座れなくても同じこと考えたりするよね、われわれは。(あとファイルとステッカー迷って結局両方買ったりもするよ)

『タイムズ』
劇団不労社
京都芸術センター(京都府)
2025/08/22 (金) ~ 2025/08/25 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
戯曲の縁をキワキワに攻めつつもここぞ!の台詞を取り溢さぬ演出。帰る/帰れない話であり、還る/還らない話でもあった。我々は子宮≒宇宙に降り立ったその時から待つ↔︎待たれる≒おかえり↔︎ただいまを往来し、収束しては霧散し、アクセル、ブレーキ、パーキング。

七つ数えて
AOI Pro.
新宿シアタートップス(東京都)
2025/08/13 (水) ~ 2025/08/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
歌舞伎町すぐの劇場で、10年後の歌舞伎町を舞台に描かれる"元トー横キッズ"が抱える問題。そして、"元トー横キッズ"だけに抱えさせてはいけない問題。望まぬ妊娠、頼れぬ出産、行き場のない母性...祈りで、呪いで、叫びである表題が迫る。七つ数えるまでの切実、そして数えてからの虚脱。
不安定さを安定して体現する岡本ゆいさんの身体性と声色。『怪獣は襲ってくれない』から2年、娘が10代に突入した事もありその姿をより痛切に感じた。少女らの揺らぎを引き受けるデコラティブな衣裳。過剰な装飾は不安の象徴であり、孤独からの防衛であり、カモフラージュでもある。

ウルトラマリンたち
排気口
OFF・OFFシアター(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
私はちゃんとひとりぼっちで、ちゃんとさびしい演劇がどうしたって好きで、信じていて、それはつまりこの世界で生きて死ぬことの果てしのない孤独や寂しさを目をつむらないで見つめる、ということなのだけど、排気口はいつもそうだし、この作品はまさに特にそうだった。描かれてない時間の雄弁さにも胸がギュッと。働く母と働けぬ娘、社会から孤立する母娘と微かな交点を築く人々、その全てを誰より知ってる柔らかなあの子たち。夕焼けに染まる部屋に不在が満ちていく。涙の海の向こうにウルトラさびしくて愛おしい残像が揺れていた。

『意味なしサチコ、三度目の朝』再演
かるがも団地
吉祥寺シアター(東京都)
2025/08/08 (金) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
忘れることと思い出せないこと。二つは似てるけどちがってその狭間を生きていく。演劇がしまわれていくことと人生がたたまれていくこと。二つはどちらともなく重なって、やがてまっさらな舞台が朝が訪れる。意味などなくてもたしかにあった夜を命を包んで。帰省シーズンにぴったりだと思ったし、願わくば劇場から自転車で帰りたかった。遥か遠くの友人の仕草や口癖を思い出しながら。荷台の重み、背中の温もり。隣でも対面でもなく前後だから言えた言葉があったな。それでも言えなかった言葉もあったな。

悠遠のNight Wedding
ムケイチョウコク
東京ドームホテル ウェディング(東京都)
2025/07/17 (木) ~ 2025/09/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今宵は娘とおめかしして東京ドームホテルの結婚式へ。
とは言っても私達は新郎新婦の親類ではなく"ルーツ"として参列。ミステリーとロマンスが溶け合う物語の内側を泳ぎながら祈りを。人々の隙間から手をのばして祝福を。初イマーシブシアターに小6娘も大興奮でした。演劇に抵抗がある人も、こうした自分に起きる体験を通して興味を抱いてもらえるかも?などと感じました。

ほぐすとからむ
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)
2025/08/03 (日) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
身につけるものと身についているもの。「装備」というものが人々の心身にもたらす影響について考えた。強い服を着ると強気になる弱さについても。俳優陣はみな流石だけど玄人たちにからみつき、時にほぐし、バリバリ身体性を使い倒し大暴れする最若手端栞里さんにビリビリしました。

きみは一生だれかのバーター
浅草九劇
浅草九劇(東京都)
2025/07/31 (木) ~ 2025/08/11 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇団公演とは明白に違うしかし金子節健在。出ハケ等演劇の設えと物語を鮮やかに繋げる技巧、通常より汎用性高いサブカル、東野良平sの怪演...。シスターフッドではない。少なくとも私はそう感じつつ肉体が否応なく他者≒バーターと同期する当惑を知る経産婦の体が疼いた。『きみは一生だれかのバーター』のことを一晩考えた。
驚きと戸惑いがあった。それから、一人の劇作家に魅了され、その躍進を数年にわたって追い続ける意味を改めて感じた。ホームから場が変わることによる変化や挑戦、それでもなお貫かれるもの。色々感じた。色々感じすぎてすぐに言葉にはできなかった。

発表せよ!大本営!
アガリスクエンターテイメント
シアターサンモール(東京都)
2025/08/13 (水) ~ 2025/08/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
終戦の日に観ると決めていたアガリスクエンターテイメント『発表せよ!大本営!』。
本当にこんな事に命をかける必要があるのか。こんなところで死ぬな。戦果の発表=公式の嘘を巡るドタバタ喜劇だけど後の歴史を含めて観ると悲劇と相即不離。笑った瞬間刺さって抜けぬ言葉の数々、皮肉で痛切なラストだった。

ドリームタイム
melomys
マノマ(福岡県)
2025/11/02 (日) ~ 2025/11/03 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
横浜ワイキキでの上演を観劇。
田崎小春という人一人の人間史であり生活史でありそして人類史の一端でもあった。
世界の都合や要求に合わせられなくなった命から退場を余儀なくされる。そのことは今こんな風に立ち止まり、或いは動き続ける体で考える必要があるのかも。祈りと弔い、そして無常。月経カップが出てきた演劇を初めて見ました。重要なシーンだと感じました。
以下ネタバレBOXへ

蟹工船
劇団俳優難民組合
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2025/08/07 (木) ~ 2025/08/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
檻に閉じ込められた透明な蟹たち。その手足がもぎられていく様が不可視化される労働と搾取とシンクロする。
俳優の白塗りが徐々に浮いて素肌がみえてくることもまた過労によって剥がれ(あるいは目覚め)ていく精神を表象する様で。会話というより様相が際立つ演劇だった。空調の干渉もあり労働者同士の会話がやや聞き取りにくいのだが、それらが上に聞かれてはならない声であるがゆえにある種のリアリティにもなっていて前のめりで傾聴。多喜二の最期も含め胸糞悪さは織込み済みだが、野球部から国政に至るまで暴力と搾取の絶えぬ現代社会の再現にも見えて、背中が冷えた。個人の感覚的なことなのだが、ウエストエンドスタジオって完全暗転した時ちょっと怖くて毎回少しビビりながら向かうんだけど、『蟹工船』はめちゃくちゃハマってたと思う。ちなみに中野で言うと、テルプシコールも怖め。どちらもなんとなく怖くてドキドキってだけで決して嫌いじゃない。

ワイルド蛍をつかまえろ
岡本セキユ☆シングル芝居
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2025/08/01 (金) ~ 2025/08/04 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
演劇に奮闘する俳優と社会と格闘する社員が一つの身体で汗をかいて生きていた。
誰かに探されてるのか、誰かを探してるのかわからない。そんな"迷子"を私達は生きている。蛍の光が流れてもなお諦めがつかぬ人生を。点いては消えるその光を追いかけてチラシめちゃくちゃかっこいいけど、わりと本当にこのまんまのお芝居だった。世界や社会からはぐれても転がり続けて、それよりも立ち上がり続けて、腕まくりして敵へと向かう。終わりなきサバイブ、ラスボスは「己」。岡本セキユさんの俳優としての、そして人間としての覚悟が滲む、かっこいい上演だった。まだまだ拍手してたかった。

ノーマンズランド
Oxymoron Thatre Club
北とぴあ カナリアホール(東京都)
2025/07/23 (水) ~ 2025/07/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
OTC第一回公演『ノーマンズランド』、朝比奈竜生さんの新訳で。
一貫性のなさに一貫性を、無意識を意識的に。その名の通りオクシモロン(撞着的)な試みを実践するシアタークラブでした。
劇場選定もさることながら中村友美さんによる細部まで繊細な美術、饒舌な陰影を灯す岩城保さんの照明にもうっとり男たちがとりとめなく話すのは酒と女と戦争、そして、忠誠と所有。酒というより人生や時代に酩酊する男らが垣間見せる、男性性の悲哀。難解な戯曲ながらも、"誰もいない国"に居座る男たちを秋場清之、クロス・フラット、椙田航平、丹野武蔵の4名の俳優が競演。狂気と正気の往来を其々堪能した。
以下ネタバレBOXへ

それは、満月の夜のことでした
階
WAKABACHO WHARF 若葉町ウォーフ(神奈川県)
2025/07/29 (火) ~ 2025/07/30 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
途の階『それは、満月の夜のことでした』
「ある」とも「ない」とも言い切りたくない。そんな狭間や隙間を行ったり来たりする時もその心の泡立ちを炭酸と一緒に飲み込む時も独りを照らす月はそこにある。月は照明でありキャストだった。(水曜日のネコのプルタブが引かれるまでの、ある)満月の夜のこと。

テン9
ペキニーズ・ドットコム
OFF・OFFシアター(東京都)
2025/07/15 (火) ~ 2025/07/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
独りで走れなければ誰かとは走れない。
だけど、一人じゃないから出せる速度見れる景色もある。暴走族の話です。
と見せかけて演劇の話だしさしずめ世界の話だったと思います。ラスト5分痺れた。女が可哀想じゃない、かっこいい演劇好きだ。
実は選挙投票日にぴったりかも。

始まりの終わり
ムニ
アトリエ春風舎(東京都)
2025/07/20 (日) ~ 2025/07/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
とんでもないことに挑戦していると聞き少し緊張しながら向かったけど、"始まり"から"終わり"まで面白かった。
忽ち舞台上の5人に取り込まれ、自分がその内の誰かである様にも、残る1人である様にも感じられ、人間ひとりの不在と存在の曖昧さを自分の心身を通じて体験した。理解しようと思って作品や人物を追うことによって見えてくるものもあるけれど、溢れ落ちるものもある。
それは、他者を分かろうとする、分かるものであるとする行為がかえって他者の存在(やあるいは不在)を限定してしまうことにも通じている気がする。目の前の風景に身を任せることでそんな実感に辿り着ける様な劇体験だった。
そして、自分の中に潜在的にある他者を分かりたい、関係したいという切実と傲慢のいずれもに向き合わずにはいられない時間だった。
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阿佐ヶ谷に死す
劇団ドラハ
シアターシャイン(東京都)
2025/07/18 (金) ~ 2025/07/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
生から死、物語から演劇、俳優から登場人物、上演からアフタートーク、でなく、その全てが逆説的かつ不可分に"波"として押し寄せる。「演劇」という所業の、営みの混沌に巻き込まれながら生きる人の瞳に閃光を見た。私も意味に追いつかれない様ぶっ生き返して生きてたい

グロリアストラベル
桃尻犬
浅草九劇(東京都)
2025/07/16 (水) ~ 2025/07/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
今の自分がどうしても出会わねばならなかった。演劇とは不思議なものでそんな奇跡的な邂逅が稀に起こります。私にとってはこの作品がそうでした。夫婦と家族の行き止まりで揺らいでいた情緒がぼっこぼこにやられた。演劇だからこそ叶えられる風景、哀しく美しいラスト。

海と日傘
R Plays Company
すみだパークシアター倉(東京都)
2025/07/09 (水) ~ 2025/07/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
海の外側から波を見つめる様にも、傘の内側から雨を見つめる様にも感じた空間に雨上りの日が差す時、虹の中で終わりのない問いが揺れていた。
ないものをあるように見せる演劇が、あったものをないように見せている今を突きつける。
戦後80年「うちのこと忘れてはいけんとよ」という言葉に私たちは何を思うのか。日々の裂け目から生と死が、砂浜に描いた文字が波に拐われていく様に手の中へと落ちていく。海へと溶けてく前のその瞬間に耳を澄ませ、目を凝らす時間だった。死へと向かう妻が静かな終末のその中で静かに、しかし確かに見せた抵抗が忘れられない。
本作では(過去に観た松田作品と照らし合わせた時に)「あれ?」とある種の違和感を覚える演出が幾つかあるのですが、それらがやがて劇の輪郭を縁取り、新たな気づきに導かれる感触があった。身体の先端が立てる音、側面からの眼差しの雄弁さもその一つ。