Yuwadukiが投票した舞台芸術アワード!

2022年度 1-1位と総評
荒人神 -Arabitokami-

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荒人神 -Arabitokami-

壱劇屋

実演鑑賞

五彩の神楽の中で一番ストーリーが見て理解しやすかった。
先に公開されたあらすじから、竹村さんが神になってそれに全出演者が立ち向かう、みたいになるのかと予想していたけれどそこは違いました。

シリーズタイトルが「神楽」という言葉が入っているけれど神楽は神に奉納するもので、最初は舞台の作りが祭壇になっているのかなと思った。でも5作品通して私の解釈ではそれぞれの主人公は「神」だとは思えなかったから、結局ここでの「神」とは何になるんだろうということを考えている。
前半はヒーローのいないまま人の濃い悪意を見ているしかなく、ずっと「辛い…」状態。その状態を壊すための手段が主人公が暗黒神化することだったので、「それでいいの!?」となった。
そこにこれまでの神楽の世界から4人が顕現した時は、衝撃と同時に、前から知っていた好きな人達が加勢しに来てくれた訳だから、嬉しい!という感情が突き抜けていった。(この点については、これまでのどれかの神楽が上演できなかったために一人でも観客から見て「この人誰?」という主人公が出てくる状況にならなくて本当に良かったと思う)

これまでの主人公達が少しずつ助けてくれて、主人公が立ち上がって自分の力で黒い悪感情を振り払って、「一緒に立ってくれる人がいてそして最後は自分なんだね」と思っていたら、ラストは悪役もひっくるめて全てのこれまでの登場人物が楽しそうに踊りまくって、情緒の高低差が激しすぎる。でも楽しかった。

ピンポイントで好きなのは後半の戦いの盲人のシーン。
元に向けて “大丈夫だよ”みたいにニコッとするところが、心踏音ではいなかった笑人だけじゃない仲間達が出来て、自分よりも弱い味方にそんな表情ができるようになったんだという思いと、表情そのものがとても安心できる顔なので。
もう一つ、最後に笑って荒に自分を刺し貫かせるのが他の主人公達と違って唯一前の神楽の中の盲人と笑人の最後の行動と同じだから、余計に盲人が荒に向かって“思い出して”と言っているようだった。

総評

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