tokoの観てきた!クチコミ一覧

1-13件 / 13件中
2番目、或いは3番目

2番目、或いは3番目

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2010/06/21 (月) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

どこまでも続く 生きている間
上演時間は長いですが、ナイロンメンバーの密な掛け合いに引っ張られてあっという間でした。

悲劇と喜劇の中間ではなく、繰り返し。

そのバランスが絶妙。

ネタバレBOX

明と暗。

そのどちらも同時に存在するのが世の中。

不条理こそが条理であるのかもしれない。


他人を救おうとする者こそが何よりも救いを求めていて、
救いのない者こそが何かを救っている。

不毛な会話が何かを生み出し、真摯な想いが何かを台無しにする。


ばかばかしく笑った後に差し込まれる、救いのない光景、
その繰り返しが折り重なる。
 『F』

『F』

青年団リンク 二騎の会

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

叶わない望み
女とアンドロイドは、哀しいことに女と男ではない。
いや、あるいは幸せなことに。

「あなたのことを思えば思うほど、あなたが遠くなっていく。」

ネタバレBOX

最下層の人間と、富裕層の人間。
人間とアンドロイド。
お金のために命を売る。

わかりやすいキーワードで、向かっていく結末は明らか。

じわじわと、「定番」な流れで進んでいくストーリー。


それでも、ずっと心が揺さぶられる。

演劇とは 小劇場の醍醐味とは
目の前で手に取るように伝わってくる感情を、同じ空間で体感することなんだな、と心から実感。

端田新菜と多田淳之介。
午后は、すっかり雪

午后は、すっかり雪

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/12/03 (木) ~ 2009/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

語らなくても 伝わる
それは、いくつかの女と男の物語。
それは、いくつかの情の物語。

いろいろな形とみせかけて、すべてが人間 あるいは女というひとつの形。

ネタバレBOX

3人姉妹はそれぞれが全く別の典型的なタイプのように描かれ、
それぞれの相手方(恋人、夫、父…)のちがいもあり、
自分が共感できるのはどこかしら、と思い楽しんでいたはずなのに、

3人の動きがシンクロし、そっと眠りにつくところ、
ああ、これはすべていわゆる「女」なのだと妙に哀しくなった。

もっと伝えてほしいもどかしさに苦しみ、
それでもそっと忘れるようにゆるす。

舞い散る雪を一緒に見ながら。
花とアスファルト

花とアスファルト

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/01 (土) ~ 2009/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

小さな波紋
ある団地を通り過ぎるある季節。

小さなさざ波が立った時、人はその波をどうするのか?

受け入れること、拒むこと。
同調すること、反発すること。
見つめあうこと、見ぬふりをすること。


小さなコミュニティに引っ越してきた、よそ者をめぐるあるお話。

ネタバレBOX

「クマ」が出てきます

…え???


という心配は開演前だけ。

物語が始まって、気がつけば何もかも受け入れられる気持ちにさせられるのはさすが。

ファンタジーが、すっと心の中に吸い込まれる雰囲気なのです。



いちばん心がぎゅっとなったのは、女とクマの最初で最後のいちばんの思い出。

こんなに幸せなのは、きっと今日だけなのかもしれない。

そんな、夢のような、消えていくのがわかっているような、あの夏の日。


終わっていくのが寂しい、そんなお話でした。
神様とその他の変種

神様とその他の変種

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了

それでも祈るのよ
閉じた閉じた世界で起こった。

どこにも行けないこまったできごと。


神様がちゃんといるとするのなら、

いてもいなくても変わんないような神様なんだよ。

ネタバレBOX

テーマとか、伝えたいこととか、

ほんっとに何もわかんなかった。


でもね。 面白かった。


いろんなことがどうっでもよくなる。



だから言ってたじゃない。 出鱈目なんだって。
【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと

【筆に覚えあり入選!】家族のこと、その他のたくさんのこと

ロロ

王子小劇場(東京都)

2009/05/02 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了

満足度★★★★

だって これ 夢だから
リアルな僕の言葉で語られる、シュールな僕のあたまの中。
あっけらかんとした潔さと、涙がこぼれそうな繊細さ。

若い頃にしか見られない、そんな景色がひろがっていました。

ネタバレBOX

初めこそ、感覚のズレというか、笑えず溶け込めず置いてきぼりにされている印象がありましたが、 万国旗がはためいて、「そうだ、これは夢なんだ」と吹っ切れてからは、あちらこちらに行き来する世界を素直に楽しむことができました。

見せたいイメージや、伝えたいムードが、たくさんあちらこちらに散らばっていて、その散らばったカケラをぎゅっと集められる時が来るのなら、きっと素敵な世界が広がるのでしょう。
遡上  (4/13&20 2日間のみの公演です)

遡上  (4/13&20 2日間のみの公演です)

東京ネジ

名曲喫茶ヴィオロン(東京都)

2009/04/13 (月) ~ 2009/04/20 (月)公演終了

満足度★★★★

ながれて もどる
母の遺した喫茶店を営む娘。
昔馴染みの姉のようなご近所さん。
店番をする気の好い従妹。
そこに訪ねてくる臨月の旅行者。

田舎町の小さな喫茶店で語られる女たちのお話。


ヴィオロンの雰囲気とマッチした、小さいけれど大きなお話。

川の流れのようにゆったりとした、
優しい時の流れを感じました。


ぜひまた次回も観たいと思いました。

ネタバレBOX

素敵な作品でした。

ちっぽけな母と娘たちの物語。

それでも大きな人生の物語。


特に愛すべき母の存在が心に残りました。

なぜ妹と偽ったのか、その気持にも涙しました。

それでも結局は浮かれて川で亡くなってしまう… そんな格好悪いところがまた愛しくて。


遡上というイメージに、皆の想いがきれいに沿っていて。
愛の渦

愛の渦

ポツドール

新宿シアタートップス(東京都)

2009/02/19 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★

精緻な人間模様
スキャンダラスな状況設定にはしてあるものの、
とても普遍を感じる人間模様。
多くの人の共感を得られる戯曲だからこそ、こうして評価される結果をうんでいるのだろう。

たとえば学校で、職場で、近所で…
何かしらのコミュニティーが作られたとき、
個人から集団が形づくられた時、こんな光景を誰もがみたことあるだろう。

ネタバレBOX

二時間半の上演時間があっという間でした。
この時間経過はこの芝居には必要だと思えました。

時間の流れに従って、集団のベクトルが移り変わって動いていく様がおもしろかった。

よそよそしかった集団が、打ち解け、それが終わると揉め始め、なんだか最後は収束していく。

エピソードや個々人の設定の積み重ねも、その集団としての色が移り変わっていく様子にリアルさを与えていて。
ドキュメンタリーのよう、という感じがわかりました。
春琴

春琴

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2009/03/05 (木) ~ 2009/03/16 (月)公演終了

満足度★★★

闇に浮かぶ美しいもの
日本文化に対する西洋人の憧れ、というもののわかりやすい形ではあるかもしれない。

しかし、それはもちろん私たち日本人も憧れるものでもある。

ネタバレBOX

舞台全体が煌々と照らされる瞬間はない。

ぼんやりと浮かぶその端々を、想像力をもって拾い集めていかなければならない。

その美しさ、その悲しみ、そのよろこび。



日々の日常生活に忙しくしていると遠く離れてしまいがちないわゆる耽美的なもの。

そんな世界に静かにひたることができました。
パイパー

パイパー

NODA・MAP

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2009/01/04 (日) ~ 2009/02/28 (土)公演終了

満足度★★★★

生きること
火星を舞台にしたストーリー。 そしてそれは1000年後の話。

でもそこは今の私たちとそう遠くない世界。


明日を感じて生きていくために。



アンサンブルを用いて繰り広げられる人類の歴史を凝縮した世界。

ネタバレBOX

宮沢りえさん、素敵でした。
儚げで銀幕が良く似合う人、という印象を持っていたので、あんなに力強く躍動感あふれる動きをするのは意外でした。

松たかこさんは特に母親を演じている時が良かった。
「おーい」と呼びかけるその先に、大きな大きなものを感じました。



絶望という絵空事と、希望という絵空事。

振り回されるばかりで、本当に感じなくてはいけないものを見失ってはいけない。

こんな世界でも種を蒔く。
あれから

あれから

キューブ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2008/12/13 (土) ~ 2008/12/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

そういう世代になりつつある方へ
あれから… いろんな、いろんなことがあったんだよ。

まだ少女だった頃一緒に過ごしていたふたりが、三十年後に偶然出会う。
あの頃は、まだ自分たちにどんな未来が待っているかなんて、想像すらできなかった。
仕事も結婚も、まだまだ遠い世界のことのようだった。

こんな風になってるなんて、これっぽっちも思っていなかった。

ネタバレBOX

中盤はどんどんと重苦しさを増していき、人生って、重ねれば重ねるだけ苦しくなるものかとやり切れなくなる。

失敗を繰り返して少しずつねじれていった時間は、もうどうにもならないくらいに手に負えなくなってしまって。

しかし、もうどうしようもなくなった時、どん底のはずのその場所で、なぜだかひどく滑稽なやりとりが始まる。
言えずにためていたはずの言葉が呼んできたものは、なぜだか笑い声だった。


終わりだと思ったところにも、「これから」はきっとある。

可笑しくて切なくて、すごくいいシーンだった。


あの頃を思い出し、これからを夢見ることができました。
どうもありがとう。



リクエストできるなら、カーテンコールはサキ先生で出て来てほしかった…
シャープさんフラットさん

シャープさんフラットさん

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2008/09/15 (月) ~ 2008/10/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

【ホワイト】 
よかったです。 素直にストーリーも。

映像の入り方が美しかったです。
世界をどんどん拡げて、あるいは塗り込めて、印象にのこりました。

ネタバレBOX

窓に映る雨や雷や、美しく咲き誇る花たちや、真っ白な壁や。
遠く遠くの彼方から、一本に続く自分の通って来た道や。

もの悲しくて救いがなくて。 でも終わらない。

生きて行くって辛く悲しいなぁ。


とはいえ、観た後にそれでも生きていたいと思うから不思議。


ブラックチームも観ましたが、私は圧倒的にホワイトが好み。

美果の煙への想い。仕方のない間違い。切なくて胸が痛みます。
あゆみ

あゆみ

toi

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

どこにもないカタチ
どこにでもいるような、一人の女の子の話。

でも、それはどこにもないカタチ。


懐かしい想い出が、どんどんと押し寄せてくる。

もう一度観たいです。

このページのQRコードです。

拡大