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ボクサァ

ボクサァ

劇団あんちょび

エリア543(東京都)

2019/01/19 (土) ~ 2019/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

ネタバレ要素が多いため、ネタバレBOXに記載します。

ネタバレBOX

劇中ミウラが発した言葉"ボクサァ"がタイトルになっていることから、話の主軸はミウラだと判断

となると冒頭から他4人からのミウラの態度に納得がいく、これは共通のパラノイアを持つ者達がそれを利用し彼を殺す為の算段の話だったのだ。以下論拠を列挙す。

・冒頭の暗転からの平手打ち
・その後ミウラのみ話のテンポが合わない描写→断水と皿
・ポテチ冤罪事件
・帰宅する事に対しての一方的な糾弾
・具体的な秘密の暴露をチラつかせた脅し→うんこ
・劇中唐突に出てくるミウラに関係する女性2名の名前
・女性(オネェ)にすがられた時の表情の引きつり

これらのミウラへの対応はいわゆる"いじられキャラへのソレ"とは少し違って見えた。
少なくとも本公演のミウラは、他のキャラクターとそういった軋轢が無いように演じられていたように感じられたからだ。
だとすると、彼の扱いの違いはなんだろう。ただ後輩だからというものでも無いように感じる。

そもそもなぜカトウは理由もなく彼らを部屋に呼んだのか、彼らはなんの集まりだったのか?劇中では言及されていない。(サークル?部活?学年はバラバラの様子だが)

そうして考えるにつれ
階下のボクサーへの妄想の加速や、やたらとディテールの細かい婦女暴行殺人の描写など(首をどうしているかなど)を踏まえ

私は彼らが5人組の婦女連続暴行犯グループだと考えた。

そう仮定すると、なぜミウラが殺されなければならなかったのか。となるが。
ミウラのみが彼らの犯罪者の輪から抜け出そうとしていた、としたらどうだろうか。

論拠としては確信的なものは無いが次の件が気にかかる。
ミウラがカトウの部屋でみつけた箱の中のスリッパ。これを決定的な起点にしてパラノイアは悪化していく。
他作は未見だが、高橋いさをは見立を用いる劇作家ときく。だとするならば、このスリッパは本当にただのスリッパだったのだろうか?

スリッパが片方だけだったという意味、これが何を示すか。これを見たミウラが"兄は機動隊員だ"と咄嗟に嘘をついて場を離れなければならないような"何かを"示す可能性がある。

思い出してみると、ミウラは本人親しいと思しき女性の名前が具体的に唐突に挙げられたこと。これをどうみるか。
仮にこれを2人あげられた女性の家の見慣れたスリッパの片方だった。としたらどうだろう?嘘をついてでもその場を切り抜けて、脱出し彼女の安否を確認しに行きたくなるのも頷けるのではないだろうか。

そして電話ないしは直に確認。もしくは直ちに警察に通報したため、ミウラは劇中ではかなり時間がかかって帰ってくる。


だとしたらなぜミウラは帰ってきたのか。
彼女の安否が確認できない以上、彼らの側から離れるわけにいかなかったのか。もしくは自分もグループのメンバーとして残るためだったのか。

ミウラがいなくなった後さらに加速してしまったパラノイアと、4人のミウラ離脱への怒りによってミウラは遂に"死んだことにされた"

彼は言った"外にでたらなんだか冷めちまった"は文字通りの意味だったのだろうか。
暗にこんな事からは足を洗うという離別の言葉だったのではないか?

殺されることはあるまいと帰ってきたミウラの予想は外れ、ボクサー(妄想)への供物として捧げられるミウラ。
そうして告発者を亡き者にし、安堵した4人の元に次に近づく足音は。警察のものではなかったのだろうか。

以上。
観劇した後加速した僕のパラノイア。

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