岸田國士 作「動員挿話」 三島由紀夫 作 「弱法師」
劇団 新人会
上野ストアハウス(東京都)
2020/09/09 (水) ~ 2020/09/13 (日)公演終了
満足度★★★★
久し振りに新劇らしい(?)新劇を観ました。
三島由紀夫と岸田國士
どちらも新劇人としては学ぶべき作品を残された作家です。
歴史あるアンサンブルとはいえ良くここまで作品の質を落とさず継承上演されていらっしゃいます。頭の下がる思いです。フリーでチャランポラン、気ままに生きている愚生には戒めを頂く上演でした。
昨今の状況下であり小劇場でもありながら、きちっと戯曲の本質を描いていらっしゃいます。時折、演技における役の「形象」に拘るばかりに若干相手を外し、歌ってしまう箇所もありましたが、俳優同士の信頼がかすがいになり、次のシーンではすぐに生きた会話を取り戻し最後まで作品のモチーフを崩さす上演仕切りました。
(動員挿話)将校の妻と馬丁の女房、身分を違える葛藤。お互いそうとは知らずに人間の尊厳を賭けた闘い。圧巻でした。
カーテンコール、客席はこの時期同じく間を開けての半数入りでしたが、明かりが消えるまで拍手を惜しみませんでした。
観客として、俳優として有難うございましたm(__)m
奇行遊戯
TRASHMASTERS
上野ストアハウス(東京都)
2018/06/20 (水) ~ 2018/06/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
休憩無しの2時間45分、最前列。
前場、九州のとある漁村のスナック。後場、中国との国際取引をも事業展開する水産会社応接室。とにかく中津留氏の作品。起きる事件の過去も含めた時代背景。人物描写。その因果関係が近未来の後場へ登場人物達の成長と共に引き継がれる。民藝・青年劇場に続き今回初めて作・演出の自集団での舞台拝見。小さな劇場ながら前場から後場へのセット転換には度肝を抜かれた。建込みはおろか床面まで音も無く変っている。南京大虐殺・弱小漁師が行わざるを得ない違法漁業・正義の為の裏切り・自殺・子供の頃のいじめ・嫡子と非嫡子差別・遺産相続・鯨と犬への民族による食文化の対立・さらにはカリバリズムからシェパードを連想する武闘派環境保護団体まで登場する。そして最後は男と女。息が切れる。基本的には淡々と演じる俳優陣の信頼できる迫力と集中力に引き込まれた。女性のお二人が秀逸。人間である以上、不条理を抱えながらも明日への希望を胸に今を生きる。その行状が「奇行遊戯」言い得て妙だ。私も終幕まで途切れることなく興味と好奇心に集中し続けた。カーテンコールの拍手は自然肩より上へ挙がりました。6月24日(日)於:上野ストアハウス千穐楽