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骨と肉

骨と肉

JACROW

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/11/19 (日) 14:00

価格3,800円

同族企業で、父である会長と娘である社長の意見が対立した時の、取締役と一族のお話。

社長と会長、どちらの意見も、共感できる部分もできない部分もある。他人から見れば、お互い歩みよって、いいところ取りすればいいのにと思う。
でも、そうせずに、もしくはできずに、2人とも極端な行動に出てしまったその理由が、家族としてのこれまでの歩みにある。家族の物語をしっかり描いたからこそ、どちらの気持ちもわかり、最終的に自分がどちらの意見を支持するか、単純には決めかねる。この終演後のもやもや感はしばらく続くだろうなあ。

ネタバレBOX

笹生の劇中の言葉、「2人の意見が両極端過ぎて選ぶのが難しい。2人で仲良くやっていくことが会社にとっては一番いいことだと思ってる。経営は、攻めと守り、両方必要だから」。本当にその通り。
では、なぜそうできなかったのか。2人ともここまで意地を張り、頑なに相手の意見を取り入れようとしないのか。

会長の克道は、古き良き時代の企業観を持ち、リーダーとしては魅力的。自分が社員だったら、「社員は家族」、「会社は社員のもの」と言ってくれる社長は素直にうれしい。
他方、社長の邦子は、序盤の取締役会議中、ヒステリックに声を荒げ、刺々しく怒鳴ってばかり。会社のこれまでの手法を全否定する姿はあまりに一方的で、やり方のまずさにとても肩入れはできないと思っていた。

ところが、その後語られる家族の物語から浮かび上がるのは。下に長男を持つ長女の立場。両親から受ける長男との扱いの差。我が子に自分の夢や理想を押し付ける両親。邦子は、自分の立ち上げた会社を諦めてまで親の希望に沿って社長になったにも関わらず、親の思い通りにならないと一方的に社長を解任され、最終的には「親の言うことを聞かない悪い子、そんな子はいらない」とまで言われてしまう。

これだけの背景をわかった上で振り返ると、序盤の邦子の態度も頷ける。大人気ないとわかっていつつも、歩み寄りたくなくなる気持ちも、とてもよくわかってしまう。
他人ならば、冷静に話し合って解決できる(妥協も含む)ことでも、家族だからこそ、分かり合えない、譲れないこともある。

経営理念・方針の極端さ、時代の流れ、リーダーとしての器、家族の背景。これらが複雑に絡み合い、自分は最終的にどちらの側に立つのか。答えは単純には出ない。

最後、笹生が議決には影響ない場面で邦子の側に立ったこと、そこからの株主総会で筆頭株主としての議案提出しそれぞれ演説するまでの流れは、まさにタイトル通りの「骨肉の争い」感が際立っていて、震えた。


また、アンケートに、あらかじめ株主総会での議案に対して賛成か反対かの質問を入れておくことで、観客に決断を迫る試みは、とても面白いと思った。
走れタカシ~僕が福島まで走った理由〜

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MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)

極楽麦酒本舗(山形県)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/09 (木)公演終了

満足度★★★★★

短距離男道ミサイルさんの作品は初めて拝見しました。
『東北の文豪作品を自身に重ね舞台化』。彼らの実体験(と思われる)をとても上手く活かした脚本で、笑いもたくさんあるけれど、それだけではない、彼らの言葉が、単なるセリフではない心からの叫びが、胸を打ちました。
観劇直後の熱い気持ちが、どうにもうまく言葉にできないのがもどかしいですが。全身全霊を演劇にかける彼らの姿は、とても眩しく感じました。今後も応援していきたい劇団さんです。

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