満足度★★★★★
人と星、天体を巡る短編が3本。世界観は同じだけれど互いに独立した物語で、幻想的であり、ときに現実というスパイスが効いた素晴らしいファンタジーでした。
ネタバレBOX
※登場人物の多くが人間以外なので、区別のため役名は""で括っています。
「光辿る風」
「置いて行ってしまった」"風車"と「置いて行かれてしまった」"風"。お互いに自覚していなかったけれど、"星々"との交流を通じてそのことに気付いたシーンが非常に美しい。また"星々"が純粋で好奇心に溢れる性質を持っていることが伝わる、後の物語を楽しむ上でも非常に良いものでした。
余談ですが(自分がタイムトラベル物の作品を目にしたばかりということもあって)終盤で同じシーンを繰り返したのは、"風"が"風車"に追いついたことの他に、"風"が光速を超えて時間を遡行したという見方もできるかな、と思いました。描かれなかった「再会しない物語」をやり直して「再会する物語」に辿り着く。繰り返しの間に描かれた"風”が速度を増していくシーンから何となく想起してしまいました。
「夜祭る月」
"月"が"姫"に望んで欲しい願いを"姫"が願わない。どうにか願ってもらおうと他の"星々"を巻き込んで奔走する様が物語に明るさを加えており救われました。
"月"が属する空想の(?)世界と"姫"が属する現実の世界。星祭りで世界の境界が溶け合い、二つの世界の願いが結実するシーン。夢と現が同居しているようで、照明や音響すべてひっくるめて最高の一瞬でした。全体的にも、いくらでも広げられそうな物語を大切にかつコンパクトに組み立てていて、その奇跡的なバランスに鳥肌。
「夢焚く灯」
1、2本目は内容的には凄くシンプルでしたが、3本目は対称的に色々な要素がギュウギュウに詰め込まれていて、「よく分からないけど舞台(演劇)って超おもしれー!」が正直な感想です(笑)
感想が急にバカになりましたが、それぐらい夢中になって観ていました。好きなシーンは沢山ありますが("三角形のアレ"再登場とか)、終盤のの扉が閉まって"サンタ"と"トナカイ座"が隔てられてしまうシーン。前に前にと進んでいたスピードがゼロになって。舞台上の何も無いはずの空間に重い扉が確かに出現したことを感じ絶句しました。
役者とスタッフともに難しいシーンの連続だったように思いました。そして、そのどれもが観ている側を引き込む素晴らしいものだったことを付け加えておきます。
改めて考えると、失くしもの、足りないものを獲得する物語だった1、2本目に対し、3本目は逆に手放す物語になっているのが意外でした。なぜそうなったのか、とても興味深いですね。
満足度★★★★
ヒロイン3人が本当に元気よく舞台を駆けずり回るので、大いに笑わせてもらいました。脇を固める他の人物も個性豊かで、悪の親玉(?)が特に目を引きました。
ネタバレBOX
コメディ成分が多めと思いきや、町の住人ひとりひとりに熱いドラマがあり。敵・味方が入り混じって戦う(走る)ラストは演出の妙もあり見ごたえがありました。