ぴっぴの観てきた!クチコミ一覧

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天使も嘘をつく

天使も嘘をつく

燐光群

座・高円寺1(東京都)

2016/11/18 (金) ~ 2016/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

ふだん知る機会の少ないほんとうのこと
身の回りのことや、テレビやインターネットで仕入れられる情報だけで、世の中のことをわかった気になっていないだろうか。自分の知らない世界においてこそ、隠れていた真実に気づくことがあるのではないだろうか。自分とは距離が遠く、これまでわずかなことしか知らなかった南西諸島の自衛隊基地について、その建設をめぐる島の住民たちの様子を描いた燐光群の新作『天使も嘘をつく』を見て、そんなことを考えた。
暮らしに必要のない基地が、目に見える/見えない様々な非情な手段でつくられようとしている、その矛盾に満ちた顛末が、これでもかと語られる。しかし、洞窟や生き物たち、天体など、島の自然とその美しさについて描かれていて、そのおかげで作品の硬質な主張がやわらかく、素直に心にしみいってきた。
「ドキュメンタリー」と虚構の狭間を揺れ動く映画監督(竹下景子)を追いかけながら、いつの間にか登場する住民たちと同じような目線で「民主主義」とは何かを考え直していた。作中では、人々の映画への情熱と自らの生活を守ろうという自然な欲求とが融合して、大きなうねりが生まれてゆく。日本の未来を暗い先行き不安なものだと悲観せず、希望を持たねばと確信させる演劇の力がそこにあった。本当に最近の事柄まで戯曲に盛り込まれていたけれど、「いま」の社会問題に取り組むことは容易ではないのだろう。その果敢で強い意欲のあるプロダクションに拍手を送りたい。いま観ておきたい、いま人に伝えたいと思わせられる舞台だった。

ゴンドララドンゴ

ゴンドララドンゴ

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2016/07/16 (土) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

シンプルで奥深い、お芝居ならではの楽しさ!
舞台は1980〜1990年代から、現代へとつながってゆく。まるで、ゴンドラに乗って過去へ下りてゆき、現代に向けて上ってくるよう。『ゴンドララドンゴ』というタイトルに込められた逆さまのイメージが随所に出てきて、それぞれが重なり合っていく。家族を軸にして物事を見つめる流れで、コミカルな演技や演出とあいまって見やすく、どんどん引き込まれていく。そうしているうち、終幕に向かって大きな物語が形作られていくところは、さすがに30年以上も続く小劇場の燐光群・坂手洋二さんならではの構築力だと思う。俳優のアンサンブルも素晴らしい。チラシにあった「空中大河ドラマ」っていうのも(笑)、見終わった後に妙に納得。やっぱり生の舞台を「体感」できるのって楽しい。あっという間、大充実の2時間15分。

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