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バカから醒めたバカ

バカから醒めたバカ

INUTOKUSHI

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2016/03/05 (土) ~ 2016/03/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

SFコメディだけど青春グラフィティ
予備知識なく見に行った。

結論から言うと最高の舞台で、ドハマリ。
初見ではどこまでがアドリブありで、ふざけてやっているのか全く分からなかったが、回をリピートして見る度に「あ、これ全部計算して作りこんでるんだ」と分かり感動。

公演初回の頃はシーン60でうんざりという声が多かったようだが、この賛否両論分かれる演出、全ての繰り返しに意味が込められていることが分かり、自身はとても楽しめた。
ただやはり観客からの「くどい」という感想からの反省か、公演期間中にガンガンとブラッシュアップされたようで、終盤ではベストといえる構成になっていた。

ネタバレBOX


ストーリーは過去に子役をやっていた少年が、18年後、輝いてた頃の自分自身に囚われ、そこから抜け出せないダメ男になり、そのダメ男に振り回される同じく子役だった仲間達との物語(ただし後半はドタバタコメディ)。


話自体はシンプルなのだが、ナンセンスなギャグ、下ネタが随所に散りばめられ、終始笑いを誘う。
しかしその笑いも、エンディングへ向けた感動のベクトルとなっているのだから恐ろしい。
大人になった主役達と同じくらいの年代である、約30歳前後の観客であれば、「俺も昔こんな夢見て輝いてた頃があったな」と思い出しながら見ると受け止め方も全然変わってくるだろう。

革命アイドル暴走ちゃんから二階堂瞳子さんがメインキャストとして出ておられたが、数年ぶりだという舞台とは思えない演技の振れ幅に良い役者発見…!と収穫。
また、今回から「犬と串Jr.」として、オーディションで若手の新劇団員が加入したとの事。
今回の舞台で正式に犬と串の劇団員となるか否か、決断することになっているそうだが、出演していた雛祭先生(居酒屋店員もしていた)、ハコベラ子供時代、アケミちゃん(取材記者とニコールさんもしていたはず)、いずれの役者も自然に溶け込んでおり、ぜひとも次回舞台でも暴れてほしいと思った。アケミちゃんのキャラは良い意味で「ズルい」(笑)。
犬と串Jr.だけでなく、全配役にベストな選択と思われ、このキャスティングの妙、凄いと感心。

作・脚本のモラル氏も30代になったという事で、恐らく自身の内面を投影した作品でもあると思われるのだが、単純に良い話でお涙頂戴などではなく、超攻撃的。
ギンギンに尖った部分がグサグサと心に突き刺ささり、自分の中に爽やかな感動を残していった。

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