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明日なきものに勝利あれ

明日なきものに勝利あれ

劇団活劇工房

明治大学和泉校舎第二学生会館地下アトリエ(東京都)

2015/04/23 (木) ~ 2015/04/26 (日)公演終了

満足度

初見の劇団。
ど頭のフォグを使った演出や、役者の演技(特に緒方役の方)に引き込まれた。設定も面白く、掴みとしては非常に良いものだったと思う。

気になったところとしては、話の大枠はわかりやすいのに、結局理解しづらかったこと。

ネタバレBOX

総じて楽しく観させていただいたが、少々気になったことを記入する。
記憶喪失の主人公が再生医療の利権闘争に巻き込まれる話だが、
中盤になり突如前半の全てが仮想現実空間内の話であったことが判明。
実はそれまでの全ては主人公の娘が見てる夢であった。
ここまではわかりやすいが、その後の展開に理解がおいつかない。
仮想現実空間内であったということは主人公やそのほかの登場人物もすべてクライス細胞の心臓・クララが作った作り物であるにも関わらず、彼らは自我を持ち、自ら戦うことを決意する。そして主人公達は当初の目的とかわらず緒方と戦う(わざわざ特訓したのに結局爆弾で戦うんだ...)のだが、「現実と向き合う」という名目にも関わらず夢の中で戦っているのだ。要するに主人公達は自分が夢の中にいて、自らが作り物であることに気づいていない。
我々観客は、主人公視点でお話を観ているのでなるべく主人公の視点に寄り添おうと思うが、クライマックスの戦闘シーンが全て仮想現実だという情報をすでに知っているため、彼らがなんのために戦っているのか理解できない。
そもそもあの段階で1番大事なのは娘の目を覚まさせることなのでは?
夢の中で主人公達が緒方に勝ったところで現実は何も変わらないし、娘が目を覚まそうという理由にはならないはずだ。
とにかく細かいところでも、主人公達の行動原理に筋が通っていないため彼らが何をやってるのか全くわからないのだが、
この話をややこしくしている一番の原因は、視点の移動がなされていないことだと思われる。
前半は主人公の記憶の話のため、主人公視点で話が進むのは当たり前だが、中盤で仮想現実空間内だとわかってからは、クララと娘以外に現実の人間がいないため、その2人のどちらかに視点を移動しなくてはならないはずだ。娘とクララに視点を移せば、物語後半の軸となるのは「娘が現実と向き合うことができるかどうかの葛藤」だが、この物語は後半クララや娘はほとんど登場せず、現実にいない主人公を視点に置いたまま進む。そのため物語の軸がブレて見え、夢の住人が敵を倒すことだけに奮闘してどうする?という疑問を観客に抱かせてしまっているように思う。

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