arugoの観てきた!クチコミ一覧

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杳たる月

杳たる月

ド・パールシム

高田馬場ラビネスト(東京都)

2026/09/30 (水) ~ 2026/10/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

あらすじを読むと、ミステリーの因習村もの。
確かにベースはそこにあって、田舎の古い家の一室でのワンシチュエーション劇。
この劇場ではあまりみたことないくらいしっかりとした美術セットがあって。
全体的に丁寧な芝居だなって思った。

味わいは、いろんなものが、ちゃんぽんになってる印象でして。
ミステリー、サスペンス、親族の葛藤劇、不条理、喜劇、とジャンルが転がる感じ。
これを深い味わいと思うか、闇鍋的でぼやけてると思うか。人によって違うかも。
自分はわりと、後者よりの印象でして。
田舎にある、複雑なこもごもを象徴的に混沌として描いてるとも言えるとは思うんだけどね。
役者陣は、それぞれハマっていて、その点でも充実してました。

※これは、団体には責任無いと思うんだけど。
隣席の人が、ひどく落ち着きがなくて、そうとうに気が散る観劇になってしまったことを一筆書いておきます。
四六時中何かしら動いていて視界の邪魔をされ、音も立てていたうえに、クライマックス付近で急に立ち上がって、退場されました。
これが無ければ、また違った見え方だったかもって思いが一抹残った観劇でした。静かな劇だっただけに余計に。

NANAKU

NANAKU

みやすいアヒル館

下北沢 スターダスト(東京都)

2026/09/24 (木) ~ 2026/09/28 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

みやすい、ってのを掲げてる若手団体の旗揚げ公演。
雰囲気的には、コメディかなって思っていたけど、なかなか難しいところに挑んでいて。
駅伝って題材、走り続ける姿は。演劇を続けるってことが重ねられてるように思えた。
つかこうへいっぽい(あくまでも演劇のスタイルが)とちょっとだけ連想。
このスタイルで、みやすいとういうか、観客を引きずり込んで演劇の地平に連れていくのは、相当大変だと思う。
まだまだ膨らませた気がする。
旗揚げおめでとうございます。

HERO/GHOST

HERO/GHOST

ロ上派

イズモギャラリー(東京都)

2026/09/25 (金) ~ 2026/09/28 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

いや、良かったの一言で、これ、2,000円で観て良いんですかって。
イズモギャラリーを限界まで使いきっていて。ここの公演だと美術が簡素なこと多いけど、かなり作りこまれてた。
まさかのL字2面客席でした。
空間の使い方、各種演出、役者、照明、音響、全部良かった。
脚本は、パラレルワールドもので、不確定な曖昧な感じでね。
そこらを現代の若者のもつ感覚と響き合わす感じでして。
演出は、ホラーまではいかないけど、怖い感じもあってサイコスリラー的かな。
このSF、ファンタジー的なのは嫌う人もいるかも。僕は好きでしたが。
世代が違うので断言は出来ないけど、上の世代が心地よく消費できる若者像じゃない、当事者としての描写がきちんとあったように思える。
ここが一番評価したいところかも。

シオヒガリ

シオヒガリ

CCCreation

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2026/09/17 (木) ~ 2026/09/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

堀越涼さん作・演出。音楽に吉田能さん。
演劇ファンならあやめ十八番をまず思い浮かべると思うんですが。
こちらのCCCreationでは、あやめではなかなかやれない方向性で伸び伸びとやってる印象があります。

過去の”白蟻”の印象やあらすじの海面上昇ってワードにSFかなって思っていたけれど。
そこらの舞台設定は、主人公の心象風景と重なるような演出でして。
(ここらの浮遊感や寂寥感はなかなかで、流石だと思った)
メインは、”トコシエ”っていう劇団においての、演劇、創作のあれやこれ。
演劇のあるあるも多いです。

となると、主人公の劇作家のモデルは?ってことになるけど。
堀越さんが託してる部分も、当然あるとは思うけど。
個人の投影というよりは、積み重なった経験と見聞をベースでの創作の色が濃い印象は持った。

苦悩は描かれるけど、全体的にコメディテイストを僕は感じて。
透徹した視点というか、肯定も否定もない、無常観みたいなものを味わった気持ちです。
ラストは悲劇だけど、なんだか晴れがましさすらあるんですよね。

ダンスなどの身体表現も素敵で、楽隊っていっても今回は二人のコンビなんですが。
演奏だけじゃなくて、効果音もその場で鳴らす、凄まじさは相変わらずです。

個人的に、最後に思ったのはこういう話や心境は現場で実際にあるんだろうけど。
今、堀越さんが、作家として演出家として、才気あふれる人たちと色んな創作をやってくれてる世界線でほんと、ありがたいなあって。
それを観られるのは幸せだなってひと安心をファンとして持ちました。

百合鴎

百合鴎

シニフィエ

すみだパークシアター倉(東京都)

2026/09/18 (金) ~ 2026/09/19 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

場面転換やシーンごとの吸引力はなかなか良いものがあったんですが。
全体的には、わかりにくい、物語の筋がつかめないって印象が強かった。
一人の役者が複数の役を兼ねるってのは演劇の面白い表現の一つですが、この作においては混乱のもとだったかも。
全般的には意欲的で好感度はある芝居でした。

『偽伝記』

『偽伝記』

きろの自由研究

OFF・OFFシアター(東京都)

2026/09/11 (金) ~ 2026/09/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

第2弾だけど、実は第1弾は演劇公演じゃなくて、アトリエでの絵の展示とライブドローイングっていう、イベントでした。

『池田あかりの絵から舞台美術作って、演劇を作りたい』
『演劇企画をするなら1作目は、大石さんに書いてもらいたい』
『この俳優さんたちと真っ向から芝居がしたい、二人芝居したい』

という、輝蕗さんの自由研究の一環なんですよね。
これらは本当真っ向からやってみせてると思いました。

入場すると、舞台は緞帳に隠され、その緞帳は海原の絵なんですよね。この絵が創作の始まりで。
緞帳が降りることで、始まる舞台。
19歳、39歳、59歳の3篇の2人芝居。輝蕗さんが演じる岡林竜子の偽(?)伝記。
元水颯香さんとの19歳の2人芝居は舞台に吸い込まれるようで、白眉だった。
これは二人の実年齢的にもハマる芝居だったのだと思う。
藤尾勘太郎さんとの39歳篇。福間むつみさんとの59歳篇。
このどちらも、面白い本だと思った。
おそらく演出だと思うんですが、輝蕗さんの実年齢からだんだん離れていくわけだけど。
それを大げさに演じるというんじゃなくて、年を重ねても変わらず残る、ピュアな核みたいなもので対してたように思えた。
この造りは、効果的だったかはやや疑問かも。
芝居の造りとしては僕はそう思ったんだけど、この企画の趣旨としてはやっぱり輝蕗さんが演じてこそ、だとも思んだけどね。

当日運営の人たちも感じがよくて、素敵な空間が生まれていたと思います。
開場して、前説と、色々と気配りと遊び心がありました。
星評価は、芝居だけじゃなく、全部を含めてです。

バグる距離感

バグる距離感

友池創作プロジェクト

劇場MOMO(東京都)

2026/09/02 (水) ~ 2026/09/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

10回目の本公演なんですね。
そこで調べたんですが、自分は本公演は一応10公演全部観てるんだってことに気づき、びっくりしました。
前身団体の時から、結構お気に入りではあるんだけど。
(ただ、ちょイマーシブシアターは、あまり行けてない。)

友池さんは、さよならRADIO路線と注意書きの多い料理店路線があると感じていて。
笑わせたりはお手のもので、いろんな群像やエピソードを見せながら、きれいに畳んでいくのと、むしろ取り散らかしていくのがあるって印象なんです。
この作品は、後者のやつの集大成みたいな感じかも。
色々と攻めた演出は、信頼のおける座組だからだろうなって。

決して難解なわけじゃないし、笑えるシーンも多数用意されてるんだけど、意外と観きるのは難しいかも。
距離感より人間の多様性の話に自分は思えたかな。

渡る橋の世に引板鳴る

渡る橋の世に引板鳴る

シタチノ

すみだパークシアター倉(東京都)

2026/08/19 (水) ~ 2026/08/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

作・演出、出演もしてる、松浦康太さんは、よさいこと出会って人生が変わったそうです。
その”よさこい”への想いがたっぷりとつまった今作は、シタチノが今までやってきたどの公演よりも、ずっと大作。
シアター倉に収まり切れない出演者数。
過去と現代をタイムリープで直接繋いでしまった結構な力技だなって思いました。
正直、エピソードやキャラが盛り込みすぎで、荒く感じもしたんだけど。
ラストのよさいこいシーンに全部を賭けてる感じというか。
焦点を絞って完成度あげるよりも、色んな人生が集ってよさこいを踊るってのが大事っていう創作に思えた。
ラストのよさこいシーンは大迫力でした。

ルナナン

ルナナン

はちどり空港

雑遊(東京都)

2026/09/09 (水) ~ 2026/09/13 (日)公演終了

実演鑑賞

あらすじを読んで最初にイメージしたのは、映画ナイトミュージアムでしたが。
いざ、見始めるとスティーブン・キングや楳図かずおの風味が強かったです。
そして、最終的には、PCゲームの金字塔だった『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を思い起こしたり。

手作り感ありながら、創意と工夫あふれる美術が色々と繰り出されて。アトラクション感あった。
特に影絵の演出が秀逸で、舞台とシームレスに繋がるのは、幻想的だった。
照明や音響も良かったってことかな、とも。

一番の舞台になるのは、テーマパーク内のラビリンスというアトラクションなんですが。
物語構造自体も見せ方が時系列をバラされていて、迷宮的。
このあたり、幻想味はよく出てた気がするけど、わかりにくさにも繋がっていたような。
意外と、ナンセンスものやアングラの味わいもありました。
荒唐無稽なSF的なワードが出てきたりするので、そういうのが苦手な人は合わないかも。

長いセリフが多いんですよね。
特に中盤での、主演の葵役の小野瑞季さんの自分語りは凄い好きだったな。
小野さん、めちゃくちゃ良かったです。
あとヒカリ役の桑田香澄さんの、唯一無二の存在感。
演者陣は総じて良かった。

100分以上の濃さを感じた作品でした。僕は気に入った。

※チケットプレゼントで見させてもらったので、自分のポリシーとして星評価はつけません。
好物もりだくさんの芝居で、面白かったです。ありがとうございました。

まわれ!無敵のマーダーケース

まわれ!無敵のマーダーケース

ラ・セッテプロデュース

サンモールスタジオ(東京都)

2017/10/12 (木) ~ 2017/10/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

9年前のを今さら。
実は、石川瑠華さんが7年ぶりに舞台に出演されるってのをみて、自分一回だけ彼女を生で観たことあるんだよなって。
9年前でした。自分はイヌッコロファンなので、イヌッコロの二人目当てでしたが。
この演目、もう数えきれないくらい再演されてい、今は佐野瑞樹さんとして名前を明かした羽仁修さんの代表作の一つですね。
この公演も大変楽しかった記憶があります。

松本のオフィーリア

松本のオフィーリア

一般財団法人松本市芸術文化振興財団

まつもと市民芸術館 小ホール(長野県)

2026/08/27 (木) ~ 2026/08/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

松本の七夕は旧暦でやるそうです。うちの近くの七夕も旧暦なんですよね。
七夕になぞらえて紡がれる、過去の悲恋話。
同じく恋に悩む17歳の少女の家出から始まる物語は、現代と過去を並列で見せるのかなと思いきや。
中盤で、え、これやっちゃうの!?ってクロスをします。
(そうなるまではやや単調。そうなってからやや性急な手応えだった)

あらすじを読んでいると、もっと政治的思想的なのが強く出てくるかなって警戒してたんですが。
実際は、ファンタジー。ロマンス中心のエンタメ成分高いです。

松本の街並みとリンクした創作がされており。
松本城、市内を流れる二つの川、旧制松本高等学校(あがたの森公園)と、実際に観劇前、観劇後に見るとまた趣がある。
聖地巡礼と観劇をセットに出来る感じですね。
これは良いなって思った。

舞台が人力で回転するんだけど、演者の人目が回らないのかしらってなったりしました。

全体的には、好感のもてる芝居でした。
悲劇の発端がいくらなんでも、浅はかすぎるだろ。
その結果の選択も性急すぎるって部分は、かなり気になったかな。
※ハムレットは知らなくても大丈夫です。

家族百景

家族百景

キキタガリ

座・高円寺2(東京都)

2026/08/21 (金) ~ 2026/08/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本来、複数回観ても投稿は1回と決めてるんですけど。
アンダーキャスト公演に続き、本公演の千穐楽を観ましたので、ダブルを両方観た感覚でもう一回投稿します。

名を成した声優が多数出演されてるだけあって、これまた素晴らしかったです。
アンダー公演も素晴らしかったので、両方観られて良かったって思いが強い。
見比べるというよりも、両方ともそれぞれの味わいがあって良かったって思いです。

複数人で役を繋ぐっていうフォーマット。
僕は、この手法初めて観たのは”あゆみ”なんですけどね。
家族の年代記、ルーツの物語に持ってきたのは達見だったと思う。
非常に複雑な構造のはずなんですが、演者の力と演出の力が合わさって、わかりやすかった。
見事な家族のアラベスクを描き出していたと思います。

家族百景

家族百景

キキタガリ

座・高円寺2(東京都)

2026/08/21 (金) ~ 2026/08/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

3回目の公演になるキキタガリ。
一応、朗読劇をうたってるのだけど、毎回、朗読劇の範疇じゃないです。
OPはともかく、今回、始めのうちは、あれ、結構普通に朗読劇やるのかしらって感じなんですが。
7場、4世代にわたる怒涛の家族の物語は、笑いと涙を寄せては返します。
純愛と家族愛の物語。

演劇の構造的には、柴幸男さんの”あゆみ”と同じやつ。
複数の役者で同じ役をバトンタッチしながら、演じていくやつです。
役者は中心人物だけじゃなく、周囲の人々も代わる代わる演じていきます。
主役のチェンジは、わかりやすく大きめのスカーフをたすきを渡すように視覚化されてます。
ここも、演劇として面白いところだった。

場ごとに見せ方、振れ幅が凄いんだよね。ひたすら疾走するドタバタがあったり、シチュエーションコメディがあったり。
抽象的な演劇らしい場面もあります。一応朗読劇だけど、台本を完全に手放す場面も。

最初にアンダーキャスト公演を観ましたが、役者の熱もチームワークも良くて、ほんと良いものを観たって思い。
有名声優多数出演の、本公演も観る予定なので、楽しみです。
声優ファンだけじゃなくて、純粋に演劇ファンにも届いてほしいって思ってるやつでして。
毎回、公演数が少ないのですが、今回最初にアンダー公演だったので、あと4公演あります。
お時間あれば、観てほしい。

作・演出の藤丸亮(あきら)さんは、どん底に落とされる悲痛な味わいの作品も多いのだけど。
今作は一番、きっと多くの人にとっては見やすい光の作品でもあります。

『THE DUMB WAITER』

『THE DUMB WAITER』

劇団スポーツ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2026/08/20 (木) ~ 2026/08/24 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

自分は、初見の戯曲なのですが、海外の古典的戯曲を劇団スポーツがやる第二弾。
観始めて、しばらく、あ、これ、ゴドーのフォロワーなのかなって。
ただ、それだけに終わらない、こちらはこちらで、きっと色んな作品がフォロワーになった始祖の要素も強いんだなって印象。
どこか、なんとなく観たことある既視感は感じた。それらの元祖なんだなって。

基本は不条理のコメディの二人芝居。
劇団スポーツの3人の、キャッチボールというかパス回しというか、そのやり取りは大きな魅力だと思うのだけど。
今作も、、田島さんと竹内さんのやり取りが大変魅力的でした。
海外戯曲の、翻訳によるやや生硬なセリフのやりとりも、この二人によって大変魅力的で。
どらま館の芝居にしては、美術に意外なびっくりがたくさんあってそこらも楽しかった。

ラストシーンは、まだ回答が出てない。
芝居に節々にあった不穏さを回収したと深読みで観るのもアリだけど。
そんなことせずに、単純に一番ありえないことを持ってきた落差の笑いで取るのもありかなって気もする。

人足寄場

人足寄場

排気口

荻窪小劇場(東京都)

2026/08/05 (水) ~ 2026/08/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★

こちらの団体、2回目になります。
前回は全く合わないなって思ったんですが。
今回の評判の良さに、たまたま合わなかっただけの可能性もあるかも。もう一回だけって思いで見ました。

結論から言うと、自分には全く合わない感じです。
言葉や会話、ギャグのセンス、芝居の間、合わないみたい。
前半コメディで後半ホラーっていうのは、エンタメの定番構成ですが。
合わない笑い、後半もよくあるB級ホラーとしか思えませんでした。
心が全く動かなかった。
優れたホラーって、文芸の香気が漂うんですけどね。

ネタバレBOX

二役の人いるんですが、この二役は物語的に混乱させるだけだったと思う。
役者は頑張ってたと思うんだけど。
別々のほうが、すっきりと不気味さに繋がったと思います。
星の王子さま

星の王子さま

公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター

吉祥寺シアター(東京都)

2026/08/14 (金) ~ 2026/08/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

上演時間65分。
吉祥寺ファミリーシアターをうたっていて、残念ながら行けなかったけど、昨年は”銀河鉄道の夜”。
キャスト、昨年も今年も、小劇場観劇趣味になってる人には、気になる人たちを選んでる。
普通の公演よりも、リラックスした環境を意識してるようで。
入退場自由、携帯も電源から切れとは言わず、おしゃべりとか声出ちゃうのも大目にね、くらいの優しい注意喚起があって。
場内は多少のざわつきがあるけど、嫌な感じは無かった。
面白いもので、静かになるシーンは自然と静かになったり。

内容は、美術も小道具も盛りだくさん、この表現は演劇だって思えるいろんな仕掛けもぞんぶんで。
生まれて舞台を初めて見る子たちに、ね、演劇って素敵でしょって語り掛けてるような印象。
もともと、平易のようで哲学的な原作。
物語に導くというよりは、作中の印象的なシーンが連続する感じ。
散文的で。実は、結構、難しいかも。
原作読んでないと、大人も結構大変なのでは、と。

子供にはシーンの面白さや美しさ。わからないなり、名セリフの語感の良さとかが、引っ掛かりとして残るんじゃないかしら。
親世代で若いころに王子様に感銘を受けた人が、一番響く芝居に思えますね。

キャストみんな素敵だったけど、王子様役の端栞里さんが、ビジュアル的にも本当にぴったりだった。
夏休みに観るに相応しい、素敵な芝居だ。
チケット代も大変お手頃。

映画を撮りたいゾンビの演劇

映画を撮りたいゾンビの演劇

東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2026/08/07 (金) ~ 2026/08/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

5人の役者がとても魅力的で、まあ、5人ともゾンビなんだけどね。
歌ったり、熱弁したり、歩き携帯でつまづいたり、ほんといろいろとやってくれるので、それを観てるだけで、結構楽しかった。
ゾンビって存在で人間との非対称性を描く。そこに映画論に演劇論と、メタメタに重ねていく。
客席にゾンビたちはめちゃくちゃ主張してきます。

ちょっと、個人的なんだけど、自意識あるゾンビってのが結構強烈に違和感あってね。人間側に物申すんだけどね。
いや、そこまで知的で感情もあるならゾンビじゃ無くね?ってなった。人間側が産み落としたことをいうけど、そもそも人間側はそんな知的な存在として描いてないんだから、そこから踏み出していたら人間が創造(想像?)したと言えないじゃんって。
ここらは、ちょっと自分が面倒くさいのかも。
現代だったら自律型の生成AIロボットあたりのほうが、腑に落ちるのになって。

投げっぱなしじゃなくて、一応ちゃんとオチをつけてくれるので、観終わった後にモヤモヤ無いのも良かった。
セリフは大量だけど、コンテンポラリーダンスを見るくらいの気持ちで観たほうが楽しめるかも。
思ってたより、ずっと楽しめました。

卓

卓

風雷紡

小劇場B1(東京都)

2026/08/12 (水) ~ 2026/08/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初日を観ました。
照明、音響、役者、美術。本当に総合点が高い、高品質な芝居で、L字2面客席のB1の使い方も抜群だと思う。
シンプルなようで作りこまれた美術は天井の梁、縁側まできちんとしていて、複数ある掛け時計(時刻はそれぞれ違う)がまた良い。
ここに立体感ある音響と抑制のきいた照明があたって、時を跨いだ家屋が出現していた。
たぶん、客席を一列減らして庭として広げていて、この庭を用いた演出も良かった。

タイトルを僕がつけるなら、お蚕殺人事件かな。
この家の家業だよね。その蚕と蜘蛛ってモチーフが抒情的で。
特に前半は、心理描写とか、僕は萩尾望都の漫画を読んでる時のような面白さを感じた。

ミステリーの真相としては、シンプルですね。
登場人物は怪しい人だらけで、その辺り楽しい。
そういう謎解き要素よりも、家族の複雑な関係性や覆いかぶさる時代性が見応えあるところだと思います。

「TOKYO SLUM」

「TOKYO SLUM」

TRASHMASTERS

上野ストアハウス(東京都)

2026/07/30 (木) ~ 2026/08/09 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

トラッシュは、テーマ性も高いけど、ドラマ部分がそのテーマ性の傀儡になってないところがほんと好きで。
回答を強制しないで、観てる人たちに最後まで問いかけてくるのが凄い。
長い芝居が多く、今作も3時間近いけど、観始めたらあっという間だ。

今年の二作はどちらも取りつきやすく見やすい芝居だと思えて。
今作は、派遣業者に勤務してたけど、考え方の相違から離職してホームレスになってしまう青年が主人公。
それぞれの立場、思いを描いていって、それは悪役的ポジションにも言えます。

新宿の雑踏の人々をうまく観客の想像力に出現させていて。
告白に成功したカップルの祝福に、その想像力のなかの雑踏の人たちが祝福のアーチを描くなんて、ちょっと小恥ずかしいシーンもあるけど。すごく好きでした。

隔たる

隔たる

JACROW

新宿シアタートップス(東京都)

2026/08/06 (木) ~ 2026/08/12 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

自分が観た回は19:30開演で、終演時間考えると100分程度かしらねって思っていたら、がっつり2時間越えでした。
2時間10分弱くらいかな。

モチーフは、死刑制度や少年犯罪において議論を呼んだ、永山則夫死刑囚の獄中結婚。
この永山氏は、獄中で文筆活動を行い、書いた本がベストセラーになったり文学賞をとってるのが特異なところ。
知ってる人には当然の存在だろうけれど、現代の若者からの認知ってどんなものなんだろうか?

ノンフィクションとして描かれてるわけではなく、劇中の人物の名前も変えられてます(モデルはわかる範囲だけど)。
基本、きちんとした会話劇で、丁寧にエピソードを積み上げていきます。
演者の熱演も凄い。
被告側だけじゃなく、被害者遺族側への焦点もきちんと描かれます。
”隔たり”を象徴してる美術は、人力で回転させることで場面転換します。これはなかなか効いていたと感じる。

観終わった後に、語り合える芝居に思えました。
罪と罰、赦し、個々人で相当にきっとスタンスは違うし、デリケートなところだけど。
断定はせずに、そのあたりを丁寧に語り合ってみたいなって思える芝居でした。
若い人の率直な感想とかも聞いてみたいなって。

ネタバレBOX

花咲かじいさんになぞらえて、祈りをこめての最後の散骨シーン。
そこに重なる、その後にも起こった無数の痛ましい無差別の事件。
なかなかの後味でした。

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