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Second of Life

Second of Life

劇団TipTap

上野ストアハウス(東京都)

2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★

概ねの人は感動すだろうが
この作品を観て概ねの人は感動するだろう。
わりと、感動を誘うようなストーリーだし、何よりも役者が素晴らしいパフォーマンスをしている。
役者の発するなにか熱いものに触発されるものはある。
ただし、演劇としの完成度としては若干疑問が残る。

ネタバレBOX

心を病んだ主人公の恋人の中の二つの人格が、
「今カノ」と「元カノ」として「容器」としての彼女の体を奪い合う。

端的に表現するとそんな物語だ。

主人公は「今カノ」を看病するために、「元カノ」と過ごした部屋で暮らしている。
かつてはミュージシャンを志してはいたが、
今は生活のために夢を諦め、音楽系の出版社で働いている。
「今カノ」は躁鬱を煩い、それが自分自身であることを解せずに、
部屋に残る「元カノ」の影に時に怯えながら暮らす。

平舞台の中央に一段上がった主人公の部屋は、四方に柱を備え、
おそらく「部屋」自体が「容器として彼女」そのものを表現していると思われる。

作家として伝えたいこと、演出家として挑戦したいことがたくさんあるのだと思う。
ただ、「Next to Normal」にオマージュしすぎなのではということを別にしても
せっかく自分の書いた物語の核を、自身の演出の野心でないがしろにしてしまうのはもったいない気がする。
例えば、演出家を別におくなり、ドラマターグを配するなりしてみると、きっともっと面白い作品になるのではないだろうか。

以下、もったいないと思った点をいくつか。
私的見解なのでお目汚しかと思いますが。

・マルチマンの扱い
大学路ミュージカルに見られるようなマルチマンに挑戦したいのだろうと思う。
しかしやはり、そういったものをやるのであればやはり20役くらいやらないと面白みに欠けるし、なにより観客が「マルチマン」だと解さないのではないか?

・部屋の扱い
おそらく、部屋自体が「容器としての彼女」そのものの喩えであったと思うが、
そうなのであれば、やはり彼と二人の彼女以外がその聖域ともいえる場所に入るべきではなかったのではないか?
舞台上でのサイズやブロッキングでより象徴的にすることは可能だと思う。
そうすることによってラストの鏡に閉じ込める演出もいきてくるのではないか?

・ミュージカルナンバーの構成について
各々楽曲は今風のミュージカルとしてとても素晴らしいと思います。
ただしミュージカルナンバーは全幕を通しての楽曲の構成も大切なので、
ナンバーの組立を考えることによってより引き立つのではないでしょうか。

・「Second」の意味
おそらく限りなく私小説的な作品なのではと思います。
主人公が第二の人生を歩み出すまでの物語です。
ただし、彼女の選択は「第一の人生」の再生です。
彼女にとっての「第二の人生」とは何なのか?という問題について
現実を離れてフィクションとして読み解くことによって
作品としての深みが増すのではないでしょうか?

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