プライマルスクリーム 27日当日券あり ※公演UST配信実施
かもめマシーン
小劇場 楽園(東京都)
2011/03/23 (水) ~ 2011/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
地震のあと
もちろんこの脚本は震災のまえに書かれたのだろうし構想は以前からあったのだろうけど、そのもともと以前の世界のために書かれた言葉、「ここはどこですか?」という問い、がこの震災以降の世界にまた変質した響きかたで響いてきて、明るい客席であらかじめ渡されていた避難経路のGoogle地図をぼんやり眺めながら明らかに変容したその土地の「根拠」のようなものについて思い、そこに「物語」があるにしてもそれは確かにずっと昔に死んだロシアの作家の物語をひっぱってくるくらいの距離感だなあ、とかそんなことを考えていた二時間だった。飽きるということもなく、いつまでも見ていられる作品だった。
ただ、序盤など特に、俳優の演技体とともに(あるいはそれを先導するように?)律儀に変化する照明なんかにある種の息苦しさを感じて、かといってそれがうまいように効果をあげていたというようには感じられなかったのが残念ではあった。演技が感情的になるとその息苦しさは薄れるのだけど、それはおそらく演出家の萩原氏の本意ではないだろう、と想像する(お門違いだったらすみません)。
ところで、これが長いと言う人はおそらく、出発したあるものが葛藤を経て最終的にあるところへと解決していく、そしてそこに作者の考えなりなんなりの答えがあるということを期待していたのかと思うのですがそんなものが無いことは最初に言っているので、そういう期待さえしなければ長いとか感じることもなくずっと見ていられる作品であると思います。実際は110分くらいだったけれど120分とわざとアナウンスしたのはそういった態度をとることをさりげなく求める作戦であったのかという気もします。